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2010年 04月 27日 ( 1 )

黒岩比佐子『編集者 国木田独歩の時代』、澁澤龍子編・沢渡朔写真『澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド』

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2010年度はF組週2コマ担当。4週目に入っています。水・木曜日担当なので明日が7回目の授業。初めて使う教科書『大地』、ここまでまずまず使いこなせてきたかなぁ。『みんなの日本語』と比べると周辺教材が圧倒的に少ないのですが、それはそれであれこれ準備工夫ができて自分にとって勉強になっています。ってぇも、ほとんどの準備工夫を一緒に組んでる佐野久美子さんに頼ってるんですけどネ(大恥)。昨日から漢字学習もスタート。漢字教科書は『Write Now!』。非漢字圏出身学習者によく配慮されたスグレモノな教科書です。もちろん、「教科書『を』教える」のではなく「教科書『で』教える」なので、どんなに優れた教科書でも教師の授業力が厳しく試されるのは言うまでもありません。

当ブログのカテゴリ「」、1か月半以上、投稿してませんでした。このあいだの新聞記事で日本の小学生の図書貸し出し冊数平均が30冊台(確かそう)っての読みました。ボク、小学生に完全に負けてますね(恥)。
ここんところなかなか本が読めなかったのですが、今週からアップした写真の2冊、読み始めました。だいぶ前に博文堂さんから届いて、読めずにほったらかしにしていた本です。
黒岩比佐子
『編集者 国木田独歩の時代』
平成19(2007)年12月10日 初版
角川選書(角川学芸出版)
1700円+税
澁澤龍子・編、沢渡朔・写真
『澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド』
2010年3月22日 第1刷
集英社新書ヴィジュアル版(集英社)
1200円+税

黒岩比佐子『編集者 国木田独歩の時代』
国木田独歩は高校生の頃に『牛肉と馬鈴薯』『武蔵野』を読んだ程度で、ごく普通の文学史的知識以外はほとんど持ち合わせていません。皆さんもきっとそうでしょうね。
だが、それが独歩のすべてではない。彼にはほとんど忘れられている別の一面があった。それは、ジャーナリストであり、編集者としての国木田独歩だ。(p11)
本書が刊行されたことを、2007年末はおろかつい最近まで知りませんでした。村井弦斎『食道楽』(岩波文庫)は2005年7月刊ですから、黒岩比佐子なる名前はその1年半前に知っていたはずなのですが、彼女に単共著があることにまで思いは及ばなかった。それがここ数ヶ月、盛んに黒岩本を購い求め、黒岩本を読む楽しみに耽ることしばしなのですから、まぁ本との出会いというものは摩訶不思議なものです。
独歩が窪田空穂の勧めで野口男三郎の手記『獄中乃告白』を独歩社から刊行したこと(pp233-237)、知りませんでした。男三郎、今だったら連日ワイドショーを賑わすことでしょうね。そして本書、まだ読み終えていませんが、黒岩が「謎の女写真師『梅子』」(p264)を追求する過程に溢れる黒岩のノンフィクションライター魂に触れることこそ、黒岩本愛読者の最高の喜びでしょうね。
本書、黒岩の他書同様に、参考文献・年譜・人名索引がすばらしい。本書成立に到るまでの黒岩の膨大な取材データとその整理の力業を思うとき、黒岩が日本ノンフィクション史の屹立する一峰であると確信できる。
黒岩比佐子さん(ご本人は「先生」と呼ばれるのがお嫌いなので「さん」付けさせていただく)のブログ「古書の森日記」(ご本人のご許可を得ていないのでまだ右にリンクしていませんが、しばしば訪問させていただいております)に拠ると、『古書の森逍遥 明治・大正・昭和の愛しき雑書たち』(工作舎)が6月に刊行、さらに堺利彦関連本も年内刊行とのこと。年内に関西学院大学で予定されている黒岩さんの講演会と合わせ、近刊2書も楽しみです。

澁澤龍子・編、沢渡朔・写真『澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド』
当ブログで既に書いていることだが、澁澤龍彦は学生時代に宮崎健二君に教えてもらった。
本書、愛蔵版で刊行してもきっと売れたと思うが、新書で刊行とはありがたい。本書の親本はありません。
皆さんは何か収集してらっしゃいますか? 僕は小中学生の頃だったか切手を集めていた。今CiC(富山駅南口前)になっているところにかつて須田ビルがあり、その1階(地下には闇市があった。僕の頃はもう「闇」ではなかったのでしょうが)に切手の店があった。僕、お小遣いを貯めてでしょうね、たまにそこで買ってました。あるいは、カタログ(年刊)を眺めながらいつか見返り美人や写楽が買えたらいいなぁと思ったり。あの頃は切手収集がブームだった(他に、僕はやらなかったが鳩飼育なども)。僕の場合、切手以外に何か集めたという記憶としてはラブレターくらいかなぁ(照)。僕はコレクター気質の薄い人間なんかもしれない。
本書は、澁澤のコレクション+関連文。コレクションの写真撮影は沢渡朔。僕は『少女アリス』( 河出書房新社。 1973)を古本屋で買って持っていた。「文藝別冊」に『澁澤龍彦 ユートピア・ふたたび』(河出書房新社。2002年)があり、そこに篠山紀信「澁澤龍彦の館」が掲載されている。2人の写真家の力量の違いを僕は知りませんが、2人ともに澁澤の部屋を撮った写真があって、比べてみるとおもしろい。この本の編集は桑原茂夫。僕は「不思議大好き人間」なので^^、桑原の本、何冊か持ってます。澁澤と桑原って接点があったんですね、初めて知りました。
さて、本書で取り上げられている「澁澤龍彦の愛したオブジェたち」(澁澤龍子「あとがき」p232)の数々は、髑髏・三葉虫・アンモン貝・凸面鏡・貞操帯・地球儀・花札・人形(四谷シモン・ベルメールなど)など。「花札」は僕には意外ですが、後は「澁澤好み」で「そうなんだろうな」って感じです。「オブジェ」に付された文章ではもちろん「貞操帯」も澁澤ワールドですが、「拳玉」がおもしろい(pp176-179)。ここに引用するのは憚られる内容なので^^、ご関心がある方は各自ご確認を。
余計なことですが、龍彦と龍子って坂本龍馬とお龍みたいですよね。龍子、本名なんでしょうね。
澁澤ファンって若い方にも多いんですよね。値段もまあまあ手ごろな本書、澁澤入門書としても最適でしょうね。

(注)
澁澤龍彦の「彦」は正しくは「偐の旁部分」です。私のPCではこの字が出ないので、「彦」で代用しました。悪しからずご了承を。
by tiaokumura | 2010-04-27 21:01 | | Comments(0)