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2009年 11月 15日 ( 1 )

シリーズ「異国からの挑戦 介護福祉士・看護師候補」(北日本新聞)

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言語間距離」という言い方をご存知でしょうか。例えば、ポルトガル語とスペイン語は兄弟くらい近い距離にあり、インドネシア語とマレー語もかなり近く、ドイツ語と英語はまた従兄弟くらいの距離にあり、日本語とアラビア語は全くの赤の他人になるでしょうか。ある母語話者が外国語を学ぶ時、対象言語の言語間距離が近ければ近いほど(習熟度はまた別にして)学びやすいと言えるでしょうね。だからと言って、言語間距離のことを、ボクが英語もフランス語も中国語も全然あかん根拠にしようとは思いませんが^^。たとえどんなに外国語学習方法が進化しようとも、脳の構造を変えない限り、言語間距離が大きいことは学びにくさの原因になるでしょうね。

さて、地元紙の北日本新聞で好企画シリーズ「異国からの挑戦 介護福祉士・看護師候補」が11月7日から始まった。今日11月15日で第7回目です。ここまでの各回は
①あこがれ 給与や経歴も魅力 ②言葉の壁 小型辞書 持ち歩く ③日本語研修 施設一任 対応に苦慮 ④経験 日本で技術生かせず ⑤信仰 毎日欠かさず礼拝 ⑥期待 帰国しても先駆者に ⑦ネットワーク パソコン・携帯 必需品

アップした写真は第3回のもので富山国際学院のスタッフの熊西美絵さんによる日本語研修が取り上げられています。日本語教育畑では熊西さんは僕の先輩にあたります。
日本・インドネシア2国間のEPA(Economic Partnership Agreement。FTAより広い範囲をカヴァーしている協定)が発効し、今日本でインドネシア人介護士・看護師候補者の方々が働いていらっしゃることは、マスメディアでも報じられているのでご存知でしょうね。当ブログご訪問者の中で親の介護をなさっている方の中には、ひょっとしたら当該施設・病院で会われた方もおありかもしれませんね。
富山県魚津(うおづ)市では3人のインドネシア人介護士・看護師候補者の方が研修中です。日本語を担当しているのが熊西さんです。僕は勤務先で学院長職にあるので、彼女からときどき報告・相談を受けています。言語間距離の大きいインドネシアの方々にとって、日本語学習にはさまざまな困難がある。日本語は発音も文法もさほど難しくありませんが、何といっても「漢字」の壁は大きい。そして、日本人でさえ合格率50%とかの介護士試験に4年以内で合格しなければ帰国するしかないハードル。例えばあなたがアラビアの某国に介護士候補として赴いて、そんなハードルを設けられたら越えることはできるでしょうか。
せめて試験問題に読み仮名をつけるくらいの「サービス」があってもいいのではないでしょうか。あるいは、問題のヒントにならぬ程度に英語で注をつけるとか。命に関わる現場なのですから、安易にハードルを下げてはいけませんが、候補者の現状はあまりにも厳しすぎる。

まもなく、国内で6か月の事前研修を終えたインドネシア人第2陣が国内各地で研修に入ります。フィリピンとのEPAに基づく候補者第1陣は既に国内各地での研修に入っていらっしゃるかもしれません。

EPAによるこのプロジェクトにはまだまだ申し上げたいこと・申し上げなければならないことがありますが、それはまた別の機会にします。
先日聞いたところによると、中国人看護師が来日し病院(や介護施設も?)で就労するとか。そのこと自体を論評する余裕はありませんが、2国間で正式に協定を結んだのだからインドネシア・フィリピンの方々が「使い捨て」「調節弁」などにならないよう切にお願いしたい(国際信義に悖る)。そうでなくっても、日本って国は国際社会においてイメージダウン進行中なのですから。

当ブログご訪問者の中には、「そんなに大変なら日本に来なきゃよかったのに」って方もおられることでしょうね。そんな方は、ちょっと近未来の日本を想像してみていただけたらありがたいです。

(11月18日・追記
本連載、11月16日付で完結しました。最終回は
⑧原点 相手理解し信頼築く
です。本シリ-ズご担当は、浜松聖樹記者(新川-にいかわ-支社編集部)です。
第8回目最後の、林照夫さん(3人の勤務先運営会の会長。私が今春、魚津の同施設を表敬訪問した際、お目にかかりました)のお言葉を以下に引用させていただきます。
「利用者や患者の気持ちを理解し、信頼関係を築くことが介護や医療の原点。言葉の壁に苦しみながらも、人を理解しようと努めている彼らは今、その原点を歩んでいる」
by tiaokumura | 2009-11-15 10:25 | 日本語教育 | Comments(4)