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2009年 08月 18日 ( 1 )

黒木和雄2作品@新文芸坐

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(8月23日午後・記)
8月17・18日と「日本語学校教育研究大会」に参加。2日目は研究発表・ポスター発表・新日本語能力試験説明など。
ここで00年代後半の日本語教育の流れを僕なりに概観すると、3つの特徴が見られる。①学習者の多様化に伴う教材・教授法の工夫(例えばweb活用など)、②学習者中心から更には学習者主体への展開(例えばピア・ラーニングなど)、③CEFRに刺激されての日本語能力測定評価の再構築(例えば日本語教育スタンダードなど)。僕のこの理解はたぶんそんなに的外れじゃないでしょうね。本当は、④日本語教師の労働環境の整備、なんてぇのも挙げられりゃいいのだけど、それは全くない(爆)。
十年一日のごとき授業をやっているボクのような日本語教師は、このままじゃ早晩「老兵」で終わっちゃうでしょうね。「日本語教育は英語教育の10年(20年?)遅れのコピーだ」という言い方もされ、それはそれで事実でもあるが(世界で最も発達しているのは何といっても英語教育)、しかし業界人^^としては日本語教育も進化し続けていると言いたい。そうですよね、ご同業の皆様?

8月18日夕方、池袋。大学時代以来の友人・哲ちゃんにTELで教えてもらった「とことん」に入る。ここ、池袋東口に昔からある「耕路」という喫茶店の近くです。お店に入ってから、「ああ、ここは哲ちゃんに連れてきてもらった」と記憶が蘇る。記憶アホなもんで、こういうことしょっちゅうです(恥)。福島地ビールの「ブラウンビア生」2杯、レバ刺し・とりわさ・おぼろ豆腐・子持ちししゃも・なんこつ唐揚。〆に「クセになる雑炊」、更にデザートに「バニラアイスクリーム」。何でもよう食う男っす、自分(照)。雑炊とアイスクリーム、熱いものと冷たいものを同時に急いで食べる。次に観る予定の映画の上映時間が迫ってたんですね。計画性のない男っす、自分(恥)。

富山に帰る夜行バスは池袋東口を23:00に出発する。それまでの時間をどう過ごすか考えて、今回は映画を観ることにした。富山の本屋さんに「ぴあ」を買いに行ったのですが置いてなかった。でもネットは便利ですね、音楽・演劇・映画・展覧会などあれこれ調べて、「新文芸坐」に観たい映画があった。
例によって方向音痴で「とことん」から「新文芸坐」への途中で迷って、公園にいた人に道を聞く。線路沿いからちょっと入った道の左に「新文芸坐」の入っているビルがありました。周りはフーゾクっぽいお店が多く、ちと恥ずかしかった(爆)。
受付で「シニアなんですけど、証明書なきゃダメですよね」と恐る恐る^^申し出たら、「かまわない」というお返事。ちょーラッキー♪。フツーの映画館なら4000円近く払わなきゃならないところを、1000円で2本観ることができました。逆に言うとボクは押しも押されもせぬ「シニア顔」ってことなんだけど。パッと見70代かもしれん、自分(激爆)。
黒木和雄(1930-2006)は『とべない沈黙』(1966年)で知りました。「六本木で遊んでる女の子」とかいう触れ込みの新人女優・加賀まりこのデビュー?作。東宝とのゴタゴタでATG(「アートシアターギルド」。新宿にあった。地下は蠍座だったか)で上映。黒木作品では他に『日本の悪霊』(1970年。観世栄夫・土方巽も出ていた)、『竜馬暗殺』(1974年。清水邦夫が脚本参加。原田芳雄・松田優作ら)なども観た。黒木和雄の「戦争レクイエム三部作」及び遺作の『紙屋悦子の青春』はいつか観たいと思っていたが、「新文芸坐」で2晩にわたって2作品ずつ上映された。4作品中僕が観たのは、『TOMORROW明日』(1988年。井上光晴原作。桃井かおり・南果歩・佐野史郎ら)と『美しい夏キリシマ』(2002年。柄本佑・石田えり・原田芳雄ら)です。『父と暮らせば』(2004年)・『紙屋悦子の青春』(2006年)は翌19日上映。

『TOMORROW明日』
最初のシーンは広島の小学生の男の子がカブトムシを捕まえるために木によじ登る。股をこすりつけながら登っている時に、「おちんちんが固くなった、なんか気持ちいい」と下で待つ友達に告げる。僕も含めて男の子なら誰もが経験する「性の目覚め」ってやつでしょうね。それから、市電や結婚式や別れなど、ごく普通の庶民の日常生活が丹念に描き込まれ、そして「明日」がやってくる。原爆がスクリーン一杯に炸裂して、映画は終わる。暗示された部分の重さに慄く。
『美しい夏キリシマ』
自分のせいで沖縄出身の友だちを死なせてしまったという想いから抜け出せない小林中学生・宮脇康夫(柄本佑が好演。明の長男ですよね)が主人公。いつ観てもすごい原田芳雄がここでも怪演(康夫の祖父役。原田は黒木作品の常連)。豊島一等兵役の香川照之(父は猿之助、母は浜木綿子。『剱岳 点の記』では宇治長次郎役)の石田えりとのSEXシーンもすごかった。8月15日敗戦。敗戦の報を聞く豊島一等兵のふてぶてしい表情、すっかり老け込んだ感じの康夫の祖父。最後、進駐軍に竹やりで一人刃向かって行く康夫少年。空はあくまでも高く青く、美しい夏。
フィルムの劣化が気になりましたが、自伝的要素の濃い黒木和雄2作品、約4時間堪能しました。

今回初めてだったんですが、池袋発の夜行バスを待つ間、「新文芸坐」で映画を観るのもいいもんだなぁと思った。
同映画館では9月に『緋牡丹博徒 お竜参上』『人生劇場 飛車角』『昭和侠客伝』などが上映されます。かつて池袋にあった「人生座人世坐」や「文芸坐」で友人たちと『網走番外地』『人生劇場』『昭和残侠伝』『日本侠客伝』『緋牡丹博徒』『宮本武蔵』などのシリーズをオールナイトで観ていた頃を思い出しました(照)。

(8月29日・訂正追記
哲ちゃんの当記事へのコメントを読むまで自分の間違いに気づきませんでした。「人生座」→「人世坐」の間違いでした。お詫びして訂正します。僕の勝手な記憶では、池袋の2つの映画館は、人生「座」と文芸「坐」だったように覚えてました。そのくらいはネットでちゃんと確かめられることだったのに、早合点でした。関係各位に陳謝です。哲ちゃんには感謝です。
哲ちゃんが同じコメントでご指摘のように、両館はかつて三角寛(みすみ・かん。「ひろし」とも。1903-71)が経営していました。「三角サンカ選集」(現代書館)の第十五巻は『人世坐大騒動顛末記』だそうです。
by tiaokumura | 2009-08-18 20:20 | 映画 | Comments(6)