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2009年 05月 05日 ( 1 )

こんな授業・あんな授業(11)非漢字系の漢字指導-その1-

最近の漢字教科書の刊行点数とその内容の充実ぶりはすばらしい。
今僕の手許にある漢字教科書を以下ご紹介。
①西口光一『例文で学ぶ漢字と言葉』(2005年10月)
②岩根富子『中級 日本語漢字リレー学習』(2006年2月)
③向井留実子・築地伸美・串田真知子『Write Now』(2006年10月)
④西口光一『例文で学ぶ漢字と言葉 3級編』(2007年5月)
⑤佐藤尚子・佐々木仁子編『留学生のための漢字の教科書』(2008年8月)
⑥佐藤保子・三島敦子・虫明美喜・佐藤勢紀子『漢字系学習者のための 漢字から学ぶ語彙①日常生活編』(2008年3月)
⑦佐藤保子・三島敦子・虫明美喜・佐藤勢紀子『漢字系学習者のための 漢字から学ぶ語彙②学校生活編』(2008年3月)
⑧松浦真理子・上妻直博・半田健一『Build Up Your KANJI SENSE』(2009年2月)
この内の②は、昨年度だったか教材として使おうと思ったら、版元品切れとかいうお返事だった。その後再刊されたのかどうか。もしまだだったら、是非他社からでも発行していただきたい。
実は、誰かに貸したか本棚に埋もれているかして上記リストに入れられなかった漢字教科書が1冊ある。どんな教科書かというと、漢字一字ずつがストーリー仕立て(英語)になっていて、前半はひたすら認識(と読み?)に徹し(いわば漢字版TPR)、「書き」は後半から。クイズに筆順を問う問題が入っているのが気になるが、一度は使ってみたい教科書である。

日本語教育で何が難しいかと聞かれることがある。僕のような経験の浅い日本語教師はたちどころに10以上は挙げられる(恥)が、中でも「非漢字系の漢字指導」は最も困難な部類に入るだろう。ここで「非漢字系」というのは、野田尚史先生のプロジェクトに参加していた折に使われていた言い方から借りている。日本語教育では一般に漢字圏・非漢字圏という言い方が使われる。では、なぜ「非漢字系」か。日本語漢字学習の2つの側面から。一つは、非漢字圏出身者の中にも漢字習得が順調に進む場合もあり、もう一つは、逆に?漢字圏出身者だからといって「日本語漢字」の習得が順調とは限らないからである(上記⑥・⑦はこのあたりの事情も斟酌した好教科書)。

富山国際学院で今年度はD組を担当しており、「漢字指導」も大きな柱の一つである。D組は漢字圏・非漢字圏が混在している。非漢字圏には1年目のクラスで漢字学習から落ちこぼれた学生も何人かおり、この4月から富山国際学院に新しく入ってきた非漢字圏もいる。要するにあれやこれやでけっこうキツいクラスなんですね。ま、それを承知で担当したんですが。人間、苦労しなきゃ進歩ないっす(爆)。
コンビを組む林さん(彼女は少々のことでは凹まない明るい性格。すぐ落ち込むオクムラ^^の陰に対して陽の人)と相談して、漢字教科書は、上述の④
西口光一『例文で学ぶ漢字と言葉 3級編』(2007年5月。スリーエーネットワーク。1300円+税)
にした。
基本方針としては
1)漢字学習に対する抵抗を減らす。「漢字はおもしろい」「漢字は便利だ」などを実感させる。
2)各自がそれぞれに漢字マップ(漢字ネットワーク)が構築できるよう、常に漢字世界の全体像を意識させながら指導する。
3)部首や関連語はもとより促音化・連濁など、「ルール化」できるところはルール化し、漢字学習の負担を軽減する。
といったあたりでしょうか。業務秘密もあるので詳述しません(嘘爆)。
『例文で学ぶ~』は「パート1・パート2・パート3+ワークシート+学習漢字と学習漢字語+別冊テスト」の構成。
5月中旬でパート2が終わります。パート2が終わり次第、補助プリント使用。どんなにいい教科書もオールマイティではありえない。教室活動がより効果的になるには、当該クラスに合った補助教材って絶対必要ですよね。
補助プリントは「読むプリント」「書くプリント」「使うプリント」にする予定で目下作成中。間に合うんかや、自分(汗)。
-続く-

付記 次回は、補助プリントの作り方・漢字マッピング(ワークショップ)・ピアラーニング(漢字学習の場合)・漢字テストの作り方・非漢字系向けの漢字ルール・漢字教材あれこれ、などについて書く予定です。

(5月6日・追記)
上掲①~⑧に次の3冊を追加します。
ボイクマン聡子・渡辺陽子・倉持和菜著/高橋秀雄監修『ストーリーで覚える漢字300』(2008年1月)
徳弘康代編著『日本語学習のための よく使う順 漢字2100』(2009年2月)
小池正平『マルチメディアで学ぶ 日本語能力試験対応 3級漢字』(2009年3月)
by tiaokumura | 2009-05-05 20:33 | 日本語教育 | Comments(0)