人気ブログランキング |

2008年 11月 15日 ( 1 )

『文藝春秋』2008年12月号(文藝春秋)

f0030155_19113513.jpg
火曜日朝、朝日新聞の『文藝春秋』十二月号広告を見て読みたくなり、昼過ぎ、金沢駅構内のうつのみや書店で早速買った。税込み750円。
行きつけ(と言っても薄毛^^のボク、年に数回ですが)の床屋さんに『中央公論』『文藝春秋』が置いてあって待ち時間に読むことはあるが、総合誌を買うのは何年ぶりだろう。
総合誌に限らず、今、雑誌は冬の時代なんですよね。あるいは、「論壇」とか「知識人」とか「オピニオン・リーダー」なんての、もう死語に近い。こないだ富山市内某所で見てたTVで、「タレント論客」とでも呼べばいいのでしょうか、雛壇みたいに座った10人くらいが、発言の仕方が実に下品な議論をにぎにぎしく展開してました。気持ちの悪いオバさん(確か前か元の国会議員)なんてまるで人の話を聞かないし、老害評論家は政界通ぶりを誇示し、若手は怪しげな三段論法を展開。こういう番組、TV受けして人気があるのでしょうが、末法の世かも。昼食と夕食の間だったのが幸いでしたが(富山は再放送?)、食後だったら、ボク、きっとゲロ吐いてたっす(爆)。

『文藝春秋』十二月号立花隆(「知の巨人」)と佐藤優(こちらは「知の怪物」だそうです^^。うまいネーミング)の「対談」及び二人が選ぶ「21世紀図書館-必読の教養書200冊」、それに読書家52人へのアンケート「死ぬまでに絶対読みたい本」。
ジャイアントとモンスターの対談(二人の年齢差は20歳)は20ページあり、その中にそれぞれ選の100冊リスト挿入。対談の小見出しを拾うと「日本語の読書は脳を発達させる」「日本人はなぜ戦争に熱中したのか」「教養としての狂気思想」「複素数的思考」「マルクスに立ち返れ」「知への怠惰は罪である」「いま、読書する意味とは」。二人の100冊リスト、立花の分類は「生命科学」「物質科学」「地球科学」「現代科学論」「心理学」「生理学」「死」「人類史・文化人類学」「20世紀の歴史」「日本近現代史」「基礎的古典」「数学」「哲学」「政治学・法学」「共産主義思想」「日本思想」「世界文学」「日本文学」「ファンンタジー・SF」、佐藤は「宗教・哲学についての知識で、人間の本質を探究する」「政治・国家についての知識で、世界の現実を知る」「社会・経済についての知識で、われわれが置かれた制約を知る」「文学についての知識で、想像力、構想力を豊かにする」「歴史についての知識で、未来への指針を探る」。

気になるマックス・ウェーバー(Max Weber1864-1920)はどうなってるのかなと見ると、立花隆・佐藤優がともに『職業としての政治』を選び、姜尚中も『職業~』、そして辻井喬が『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を選んでいます。00年代の今、マネーゲームが破壊しつつある「資本主義」、責任倫理観の欠けた政治家が跋扈する「民主政治」を鑑みると、54人中4人(しかもその4人は僕のお気に入り^^)が挙げているのは、「知識人の良心」が窺えるようで頼もしい。

52人52冊について、(1)僕が知っている「読書家」が何を選んでいるか、(2)僕が知っている作品をだれが選んでいるか、という観点でチェック。
(1)。僕が好きな川上弘美西脇順三郎『旅人かへらず』を挙げています。
(略)いつか、よそごとはすべてしめだして、この百八十六連を、隅から隅まで読み尽くしてみたい。(略)もしかすると、人の一生涯全部の時間をかけても、この詩には足りないのかもしれない。(p.183)
アーサー・ビナード泉鏡花『高野聖』
(略)情景描写の力が尋常でないことだ。(略)大蛇と山蛭がウジャウジャ出てきて、妖怪の世界に入り込んでいく。しかし鏡花の並外れた描写力によって、リアリティは常に保たれ、物語自体の象徴性にも動じない。(略)(pp.209-210)
梅原猛の親鸞『教行信証』、犬養道子の『聖書』、一海知義の『河上肇全集』、新藤兼人の夏目漱石『こころ』、小沢昭一の永井荷風『断腸亭日乗』、角川春樹の立花隆『宇宙からの帰還』、手嶋龍一のキッシンジャー『外交』、福岡伸一のデュマ『モンテ・クリスト伯』は「なるほど、この人はこうだろうなぁ」ですが、僕にはいささか意外だったところでは、志村ふくみの三島由紀夫『日本文学小史』、辰巳芳子の世阿弥『風姿花伝』、鎌田實の『クローニン全集』、磯崎新の『リグ・ヴェーダ讃歌』、ねじめ正一の『定本 柳田國男集』。
次に(2)僕が知っている作品をだれが選んでいるか、逆から見る。ウェーバーは上述の通り。僕が知っている「読書家」では、吉行淳之介『砂の上の植物群』を川島隆太が、中里介山『大菩薩峠』を内田樹がそれぞれ挙げ、ドストエフスキーは『悪霊』を大西巨人、『罪と罰』を山崎努が挙げている。ちなみに亀山郁夫はシュトルム『みずうみ』です。あまり僕の知らない「読書家」では、高橋和巳『邪宗門』は原武史(なお佐藤優は高橋和巳『我が心は石にあらず』を100冊の中に選んでいる)、辻邦生『背教者ユリアヌス』は桜庭一樹、埴谷雄高『死霊』は山内正之といった方々が挙げています。最近また話題になっている『荘内本間宗久翁遺書』(宗久は、「本間さまには及びもないが、せめてなりたや殿様に」でかなり前に知りました)は磯田道史。
意外なのですが、52人中で中国系は『史記』しか出てきません。

限りある人生で、もう一度読み直したい本は? 死ぬまでにいつか読みたいと願い続けた一冊とは?
52名へのアンケートは、こうだったそうです。勝間和代だったら何を選んだでしょうか、興味深いところです。
皆様だったら、何をお挙げになるでしょうか。

人の褌で相撲をとる」ことがほとんどのこのブログ(恥)、今回の記事は思いっきり『文藝春秋十二月号』ふんどし^^でした。『文藝春秋十二月号』に大感謝!
同号、他にも興味深い記事いくつも載っています。
by tiaokumura | 2008-11-15 19:11 | | Comments(4)