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2007年 09月 30日 ( 1 )

大野晋『日本語の源流を求めて』(岩波新書)

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大野晋(学習院大学名誉教授)
日本語の源流を求めて
岩波書店(岩波新書)
2007年9月20日 第1刷
820円+税

大野晋(1919-)は東大で橋本進吉(1882-1945)に師事。戦後『辞苑』(後に『広辞苑』)の基礎語を担当、壮年期には日本古典文学大系『万葉集』・『岩波古語辞典』(ともに岩波書店)や『本居宣長全集』(筑摩書房)に携わり、60歳ころからは少年のころの疑問「日本とは何か」を追究、日本語(ヤマトコトバ)の起源はタミル語であるという確信に到る。国語学の泰斗・碩学の業績ををこんなに短くまとめるのは非礼ですが、きわめて粗っぽく述べればこういうことになるでしょうか。
彼の「タミル語起源説」を一般向けにわかりやすく書いたのがこの本。彼は、語彙(音韻)の対応・文法の共通性をベースに、考古学や文化人類学などの最新の知見(「グラフィティ」など)を援用して自説を立証する。これ、僕だけの印象かもしれませんが、大野説、もっと国語学者・言語学者から(いい意味での)批判があってもいいように思いますが、なんか「黙殺」されてるような感じ。基礎語でこれだけ対応が見られること、文法の共通点(助動詞の配列・係り結びは確かにそう)から言えば、大野説に軍配を上げたくなりますが、どうなんでしょう。もっともっと論争が起こってほしいものです。「言語の起源」もそうですが「日本語の起源」って、タブーでもないのでしょうが、「地雷」というか実証不可能な「爆弾」なのかも。
岩波の本にしては珍しく、博文堂さんから刊行間もなく届いた。地方小売店への流通がよくなったのか、あるいはベストセラー(『日本語練習帳』ほどではないでしょうが)を見込んで岩波が大部数印刷刊行したのか。来週あたりからTOP10にランク入り、まちがいないでしょうね、この本。
言語学徒として、こういう本は「批判的に」読めるべきなんでしょうが、まだまだ浅学非才なボクです(恥)。それでも何箇所か「?」がありました。
タミル語、富山国際学院のスリランカ出身の学生の母語。いつか彼にタミル語について聞いてみよう。

ゴーギャン(Paul GAUGUIN 1848-1903)の大作"D'OU VENONS-NOUS? QUE SOMMES-NOUS? OU ALLONS-NOUS?"(我々はどこから来たか、我々は何か、我々はどこへ行くか)もそうですが、大野晋さんが「日本とは何か」という問い(その結果としての「日本語はどこから来たか」)を追究し続ける姿勢には、月並な言い方ですが感動します。
by tiaokumura | 2007-09-30 16:44 | | Comments(4)