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日本語能力試験@富山大学

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公的機関が実施する日本語非母語話者を対象にした日本語テストには、(私が把握している限りでは)日本語能力試験・日本留学試験・BJT・Jテストの4つあります。4つの中で最も歴史が古く最大規模を誇る日本語能力試験は、毎年12月第1日曜日に実施。富山国際学院の学生は、全員でもないのですが、今日、試験会場の富山大学で受験しました。
昨日の富山は荒れた天気で、前夜もし明日も天気が悪かったら富山大学に行くのをどうしようか迷った。まだタイヤ交換してなかったんですね、僕。起きてホッ^^、幸いなことに今朝は晴天。車で自宅を8時半前に出て、道がすいてたので9時頃には富山大学に到着した。人間発達科学部棟の横に駐車。北陸地方は富山大学が主会場なので、他県ナンバーの大型バスも何台か。
試験会場の共通教育棟に行ったら、同僚の加藤さん・柳川さん先着。10時から別の用事があったので9:40頃に引き揚げた。共通教育棟にいるあいだ、何人もの学院生が入場。ま、みんなあんましキンチョーしとらんし^^、こっちも他人の試験なもんでずいぶんお気楽モード。ボク、果たして応援に行ったのか冷やかしに行ったのか、「悪い先生」ですね(恥)。以前は大学進学に大きな影響力があった日本語能力試験なのですが、「日本留学試験」が新設されてその辺はあまりなくなった。富山国際学院に現在在籍中の学生(就学生・聴講生)以外に、卒業生も何人か受けに来ていて懐かしかった。ただ心配が一つ。受験するはずの何人かの顔を見なかった。ちゃんと受けたんだろうか。

この「日本語能力試験」、来年(・再来年)から以下の3つの点で大きく変わる。
①年1回実施だったのが、1・2級は年2回実施(7月と12月)になる。7月に1・2級に合格しておくと大学出願に際して少しアドバンテージになるかも。また、7月で2級合格・12月で1級合格も可能になる。
②1・2・3・4級の4レベルだったのが、N1~5の5レベルになる。非漢字圏出身者には「2級の壁」があったのですが、N3が設けられることによって学習負担が少し軽減されるかも。連続する2つのレベルを同日に受けられるようになったら、もっといいでしょうね。
③これまでの評価は「合か否か」だった。1級は70%以上、2・3・4級は60%以上で合格。今後はCan-Do-Statementsが導入される。世界の外国語教育の潮流に連なる「日本語スタンダード」の構築とも絡むのでしょうね、CDSとは簡単に言えば「受験者が日本語で何ができるレベルに達しているか」をstatementの形で表す。例えば「駅で駅員から自分が乗りたい電車についての情報を聞き取る」「区役所で自分の名前・住所・電話番号などが所定の位置に書ける」「改まった場面で自己紹介ができる」「新聞の見出しを見て記事の内容が予測できる」などと言ったところ。あ、これらは実際に日本語能力試験で採用されてるCDSではありません。このブログのご訪問者の大多数は日本語教育が専門ではないので、その方たちのためにわかりやすい例を示しただけです。

以上の①②③とも日本語教師にとっては「改正」です。正直これまで日本語教師間であまり評判のよくなかった日本語能力試験が、これで少し(かなり?)良くなる。でも、まだまだ大きな課題が残っています。最大の欠点は「書く」「話す」がないこと。皆さんには信じられないかもしれませんが、日本で最大の「日本語能力試験」、日本語力を測定しているはずなのに、全ての解答がマークシート(4択)で、会話試験も作文試験もない! では「聞く」はどうか。これまた本当の聴解力をチェックしてるとは思えない問題群。ここでは2つだけ指摘すると、まずノイズがない(そんなの現実には殆どありえない)、登場人物は2人(稀に1人・ごく稀に3人)でその組み合わせも男女・年齢差大がほとんど(この組み合わせが「外国人」には音が聞き取りやすいって「ご配慮」なんでしょうね)。つまり、現実の「聞く」という言語行為からは完全に遊離している。悪く言えば、傍観者として盗み聞き^^できる能力を問うているような会話場面。
日本語能力試験の実施団体もなんとか「より良い日本語テスト」を目指してらっしゃるのでしょうが、まだまだ改善すべき点の多い日本語能力試験です。「権威」あるこのテスト、日本語教師の一人として、より一層の改正を望みます。「日本留学試験」のように、全国にアイテムライターを公募するのもいいかもしれませんね。

この記事の写真、バッグも黒じゃったらオシャレじじいだったかも(嘘爆)。
なおタイヤ交換、4時頃に済ませました。来年3月中旬ころまでスノータイヤです。
by tiaokumura | 2008-12-07 09:34 | 日本語教育 | Comments(0)


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