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最近の日本語教材からご紹介

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山崎佳子・石井怜子・佐々木薫・高橋美和子・町田恵子
日本語初級①大地
2008年10月1日 初版第1刷
スリーエーネットワーク
2800円+税
<奥村一言>遂にあの『みんなの日本語』の待望の後継書誕生か?ってとこでしょうか。今日買ったのでまだ評価はできませんが、来春か来秋に採択できるかどうか、暫く教材研究してみます。辞書形→て形の提出順、「はじめましょう」に「にほんごで なんですか」を入れている点、登場人物が(日本以外に)韓国・タイ・カナダ・中国・オーストラリア・ベトナム・フランス・ペルー、巻末に「学習項目一覧」(ただしこのままでは学習者には使いこなせない)「インフォメーションギャップ」「チャート」が掲載などが、ざっと通読して目につきました。CDはナチュラルスピードではありませんでした。周辺教材も充実させる予定とのことですが、それまでは教師の力量に大きく左右される教科書でしょうね。

立命館アジア太平洋大学「日本語5つのとびら」編集委員会
日本語5つのとびら-中上級編-
2008年10月10日 初版第1刷
凡人社
1900円+税
<奥村一言>昨年だったか、幕張の日本語教師研修で同大学の方と同じ島になり、彼女の真摯さに圧倒され羨ましく感じた。また研修中の朝日新聞に同大学を賛辞する記事が出たことも覚えている。既刊の『中級編』も買うことにしました。大分・九州ネタはうちの学生には合わないので、それ以外の課からいくつか利用させていただこうと思っています。遠いせいもあって、うちの学院生で立命館アジア太平洋大学進学は、今のところ韓国人1人だけです。

佐藤尚子・佐々木仁子
留学生のための 漢字の教科書 中級700
2008年8月20日 初版第1刷
国書刊行会
1600円+税
<奥村一言>ここのところ「非漢字圏向け漢字教材」がちょっとしたブーム。一方で中国系(漢字学習では油断しがち)向けにもいい教材が出ています。本書、「中級レベルの漢字学習の決定版!」とのこと。漢字圏・非漢字圏両方に使えるかも(英語・中国語・韓国語併記)。『初級300』『上級1000』も続刊予定だそうです。本書で一つとても気になるのは「まとめ問題」に「何画目に書きますか」があるところ。これって必要なんかなぁ。僕はこういう問題作りません。

内田安伊子・内田紀子
中上級日本語教材 構成・特徴・分野から学ぶ 新聞の読解
2008年10月7日 初版第1刷
スリーエーネットワーク
1400円+税
<奥村一言>新聞は「教材の宝庫」ですが、新聞記事導入のためのいい教科書は(古いのはあるが)最近はなかった。本書の「第1部」を新聞記事の読み方導入に使って、その後は対象学習者の興味やニーズに合わせて教師が生記事かリライト記事を用意する、といったところが授業展開の「王道」かも。「第2部」には「資料」がリソースとして用意されています。教材の性格上、旬のネタも豊富な本で(綴じ込みの「新聞記事」は讀賣・朝日・毎日の08年1~3月記事)、それは逆に言えば「すぐ古くなる」という危険性と隣り合わせですが、そこは教師がアップ・トゥー・デートなネタを提供すれば済むことでしょうね。

目黒真実・監修 アスク出版編集部・編
”生きた”例文で学ぶ 日本語表現文型辞典 英・中・韓対訳付き
2008年9月25日 初版
アスク出版
2400円+税
<奥村一言>類書では、グループ・ジャマシー『教師と学習者のための 日本語文型辞典』が日本語教師の圧倒的な支持を得ています。本書は学習者に特化している。「"生きた”例文で学ぶ」ということで各項目の初めに会話例を持ってきている。難を言えば、項目が五十音配列になっていて、本来の「辞典」として使う分にはそれでいいのですが、学習者の実際の使用のしかたとして、例えば「時」を表す文型を整理してみたい、といった場合に対応できない。改訂時にはそいう「索引」(か「見取図」)もつくと便利でしょうね。

嶋田和子
目指せ、日本語教師力アップ!-OPIでいきいき授業-
2008年9月25日 初版1版
ひつじ書房
2400円+税
<奥村一言>嶋田和子先生とはまだ3回くらいしかお会いしてませんが、先生の明るさ・パワーに接するたびに元気と勇気をいただいております。先生の単著は初めて購入。こんどお会いした時にはサインをもらおう(爆)。「おわりに」で「セレンディビティ」について触れられています。富山国際学院の同僚の徳橋さんにご主人があの物語をイタリア語から訳された本をいただいことがあるのですが、「おわりに」を読んでて不思議な「縁」も感じました。「1-1 めざせ、教師力アップ!」、「4-4 『学びの共同体』作りのための学内教師研修」から読み始めたのですが、今の自分・学院に足りないところを痛感させられました。ところでこの本、奥付に定価が書いてあるんですね。消費税導入以降の本でこういうの珍しいでしょうね。嶋田先生の「決意」がうかがえるような気がしましたが、どうなんでしょう。

伊東祐郎
日本語教師のためのテスト作成マニュアル わかる、作れる、授業が変わる
2008年10月16日 初版
アルク
2200円+税
<奥村一言>テスト・評価、00年代になって本も論文も飛躍的に増えている分野。PCの影響もあるのでしょうね。本書は日本語テストの基礎が身につく本。文法・語彙・文字・作文・会話・読解・聴解の各テストについて、テストで測定しようとする力・目標・テスト例・作成手順・細目表に分けて説明されている。そして最終章では「プレースメントテスト」も。同じ著者による「評価」「フィードバック」も出版されるといいですね。
by tiaokumura | 2008-11-05 19:47 | 日本語教育 | Comments(0)


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