こんな授業・あんな授業(26)ディクテーション

英語の同時通訳者養成講座ではともかく、日本語授業で「シャドーイング」がどの程度の効果があるか、ガクジュツ的には^^まだ論証されていないかも。僕が「日本語教育におけるシャドーイングの効果検証」に初めて触れたのは、6年ほど前の東京だったか、S先生のポスター発表でした。効果測定(有意差を出すために、「対照実験」グループが必要なところが難しいんでしょうね。設定と追跡調査が難しい)はともあれ、僕は授業で「シャドーイング」やるの、けっこう好きです。担任やチーフをやった時は、ほぼ必ず取り入れています。
僕は、「ディクテーション」も、「話す・聞く」能力を養成するのに、シャドーイング同様、有効な授業形態だと思っています。シャドーイングが日本語教育で取り入れられたのがたかだかここ10年くらいであるのに比べ、「ディクテーション」は語学教育の最初っころからの教授法でしょうね。
今年度上半期、僕はA組1コマ(金曜日)担当。Yさん(担任。2コマ)・Tさん(2コマ)と僕の3人体制クラス。A組の学生の声を聞くと、日本留学試験では「聴読解」はそれほど難しくないが(文字情報もあるからでしょうね)、「聴解」が難しいという。これは「日本語能力試験」でも同様みたい。そこでは、「音」そのものが聴き取れないというよりは、音→意味認識の回路ができていないってことでしょうね。ではその対策は? いくつか考えられるが、「ディクテーション」も有効な授業だと思う。
話題はちょっとズレるが、ITの進化で「漢字は認識できればいいので、読んだり書いたり(とりわけ「書く」こと)ができなくてもいい」と言われることがある。だが、そんな意見に、3つ、注意点を。(a)学習者がワードなどで日本語文書作成をするとき、長音・拗音など正しく認識していないと、漢字語彙が正しく選択できない。「打ち言葉」だからといって安易に考えてはいけない。(b)同音異義語(同訓異義もそうだが)が多い日本語は、日ごろから音声に慣れ音声を通じての理解が必須。(c)日本語は、長音など意味弁別性がある。

先日、A組の7~9月の「ディクテーション」の授業プランを立ててみた。以下、素案。
目標
①音でとらえた語彙の意味がわかり、必要に応じて漢字表記化ができる。
②有声/無声や特殊拍が聞き分けられる、あるいは、たとえ聞き分けられないまでも、文脈やこれまでの知識をヒントに文字化できる。
③日本留学試験の特に聴解対策。音声を通じて語・句を理解できる。
④コロケーション・慣用句に慣れる。
⑤必要に応じて、理解語彙レベルから使用語彙レベルへとアップ。
期間
2014年7月中旬~9月下旬(10月以降どうするかは後日検討)
出典
『聴くトレーニング<聴解・聴読解>基礎編』 『聴くトレーニング<聴解・聴読解>応用編』 など
授業の流れ
①毎日、1時限の頭か、宿題チェック終了後に実施。
②開講最初にノートの書き方を説明。ひらがな・カタカナは表音文字で、例外はあるが(助詞の「は」「へ」「を」、長音・促音など)「発音記号」でもある。
例1 とやまだいがくけいざいがくぶ 富山大学経済学部
例2 グローバリゼーション
例3 しがつとおか 4月10日
③1回10問。このくらいが適当な分量でしょうね。
④教師の読み上げは、ナチュラルスピードで2回。遅すぎるとかえって特殊拍がとらえにくい。必要であれば、最後にもう1回すべてを繰り返す。
⑤学生はノートにひらがな・カタカナで表記。必要ならば、教師はそれがカタカナ語であることを示す。学生は通常 漢字で表記される語は漢字に直す。
⑥学生を指名し、ホワイトボードに書かせる。公平にあてる。
⑦WBで教師が添削&解説。必要事項(関連語・コロケーション・慣用句・関連知識など)の補充など。
⑧正解をコーラスで復唱。正しく発音できているかチェック。特に促音・長音。
⑨ノートを回収→添削(学生が正しく直していない場合があるので、注意して添削)→翌日返却(必要ならFBも。実施者と返却者が異なる場合は、きちんと引継ぎを)。
⑩間違いが多かった語彙は記録しておき(問題プリントに× など)、2回目以降に備える。
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by tiaokumura | 2014-07-12 15:04 | 日本語教育 | Comments(0)


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