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思い出の本たち:岩波日本思想大系の2書

思い出の本たち:岩波日本思想大系の2書_f0030155_14283684.jpg名曲『神田川』(作詞:喜多条忠)では「三畳一間の小さな下宿」が舞台であるが、僕の東京生活第1幕も下宿だった。もっとも僕の場合は「同棲」ではなく、高校の同級生H君との8畳くらい?のけっこうゼータクな下宿住まいだった。今でも「下宿」ってあるんでしょうか。僕の場合は1965年春に大学進学のために上京し、JR高田馬場駅近くのI家が下宿先だった。普通の(と僕には思えた)家の2階に間借りし、朝食・夕食の賄い付きであった。I家にはお嬢さんもおられてちょっとドキドキだった(照)。下宿してすぐだと思うが、1日の決まった時間になると、階下から「あしきをす~くいた~すけた~まえ てんりおーの・・・」を唱える声が聞こえる。I家は敬虔な天理教徒のご家庭だったんですね。それを知らずに下宿先に決めていたんですねぇ。僕は真宗王国の富山生まれ・富山育ちなので、念仏には慣れていたが、「新興宗教」である天理教との出会いはカルチャーショックだった。
もう一つ。美智子皇后が「五日市憲法」に言及されているというニュースを聞いて、すばらしい方だと思った。皇族の中に千葉卓三郎(ちば・たくさぶろう1852-83)を知っている人がいるとは、不明ながら全く想像していなかった。僕が五日市憲法を知ったのは北村透谷と自由民権運動との関わりを調べていく過程で色川大吉を通じてだったかなあと思う。皇后はベアテ・シロタももちろんご存知のようである。
写真にアップした2書、岩波書店のシリーズ「日本思想大系」中の2巻。『古事記』『聖徳太子集』で始まり『西洋見聞集』『民衆宗教の思想』で終わる全67巻の同シリーズ、その後類書が出ているのかどうか。「あの当時」(1970-82に刊行)ならではの叢書だったんでしょうね。上述2つは、この2書に関わる「マイエピソード」。

日本思想大系(岩波書店)編集委員:家永三郎 石母田正 井上光貞 相良亨 中村幸彦 尾藤正英 丸山真男 吉川幸次郎
庄司吉之助 林基 安丸良夫『民衆運動の思想
1970年7月25日 第1刷
定価1300円
村上重良 安丸良夫『民衆宗教の思想
1971年9月25日 第1刷
定価1300円

購入したのは池袋西口にあった芳林堂。富山にUターンしてから、夜行バスでときどき上京し東口で下車する。新栄堂は今はないようだが、芳林堂も今はもうないのかなあ、芳林堂書店・池袋西口店は。
『運動』には三浦命助、菅野八郎、美国四民乱放記、奥州信夫郡伊達郡之御百姓衆一揆之次第、浮世の有さまなどが所収。解説は安丸。月報には小松茂夫・宮田登・信夫清三郎らが寄稿している。
『宗教』には、一尊如来きの、黒住教、天理教(みかぐらうた・おふでさき・おさしづ抄)、金光教、富士講、丸山教。「大本教」はまだってことになるのでしょうね。解説は村上・安丸・伊藤堅吉が分担執筆。月報には芹澤光治良「民衆宗教のいぶきのなかに生きて」(芹澤の父は天理教に帰依)・貝塚茂樹「朱子と仁斎」など。

安丸良夫(やすまる・よしお1934-)は昨年、岩波書店から「安丸良夫集」(全6巻)を刊行。『民衆思想史の立場』『民衆運動の思想』『宗教とコスモロジー』など。また、「岩波現代文庫」で『出口なお-女性教祖と救済思想』も。

僕には「宝の持ち腐れ」のような^^2書。ほしい方がおられましたらご連絡を。
by tiaokumura | 2014-02-16 14:28 | 思い出の本たち | Comments(6)
Commented by 平名 at 2014-02-17 09:34 x
 私も逆瀬川でK君と同居生活をはじめました。 彼は大学寮に移りました。同室者が学生運動であまり居ないとの事で一度泊まりに往きましたが寮の方が近いし安いし恵まれているとおもいました。
Commented by tiaokumura at 2014-02-20 19:15
平名氏、お元気そうで安心しました。先日、Y君に仕事のことで来校いただき相談に乗ってもらいました。君のことも少し話題に。
「逆瀬川」って実在する川なんですか?
Commented by 平名 at 2014-02-21 08:33 x
 実在もしますし阪急今津線の駅も有ります。 保健所の近くに下宿してました。
Commented by tiaokumura at 2014-02-23 08:36
平名氏、そうですか。「さかせがわ」というのでしょうか。
三寒四温?、ご自愛を。
Commented by 下北沢の研次 at 2014-02-23 22:47 x
大本教の出口君国分寺の林社長の近く居てコクテル堂で一緒に働いてました!
Commented by tiaokumura at 2014-03-01 20:20
下北沢の研次さま、大本教の出口君っていたんですか。今は独立してコーヒー店をやってるんでしょうか。
こないだの朝日新聞の「ひと」にくじら=川嶋直さんが出てました。彼、60歳。アナログなプレゼンのことで紹介されていました。


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