(4月14日午後・記)
僕は写真・カメラの趣味は全くないド素人だが、昭和写真史を彩る巨匠は、名取洋之助(なとり・ようのすけ1920-62)・木村伊兵衛(きむら・いへえ1901-74)そして土門拳(1909-90)になるのではないだろうかと思う。その
土門拳の写真展があるということで、
4月13日(土)に観に行った。会場は、僕の家からは1時間強の遠出になるが
砺波市美術館。ここは、昨年南砺市での仕事の帰り、鉛筆画の
木下晋展を観に行って以来2度目。あの時は駐車場を出るときバックで立木にぶつかりバックミラーが粉々に砕け散るという失態を演じてしまった(恥)。
土門拳の昭和
「激動の日本」と格闘した写真家がいた!
2013年4月13日~6月2日
砺波市美術館
「昭和」の姿を写真に収め、見る人々へ多大な啓発を促した写真家土門拳(1909-90)。強いメッセージ性を持った土門の写真論はアマチュア写真家たちを鼓舞し、以後の日本写真界に大きな影響を与えました。
「鬼の土門」と呼ばれるほどに執拗な姿勢で、被写体に極限まで迫った写真は力強く、今なお多くの写真ファンを魅了しています。
本展は土門拳の写真人生をふり返りつつ、彼が捉えた昭和の写真を展示します。第一線で活躍した日本人写真家の写真芸術をとおして、昭和史の重要場面に触れていただける絶好の機会となることでしょう。
(同展リーフレットより)
展示は1Fと2Fを使い「戦前・戦中のしごと」「戦後日本の歩みとともに」「風貌」「日本の美」と分け、他に「絵画作品」「資料・遺品」。館内ではビデオで「激動日本を捉えた写真家・土門拳」のビデオ(約14分30秒)が流されている。
最近の美術展は開館中さまざまなイベントを催していることが多いが、本展でもこの日
藤森猛講演会「わが師土門拳を語る」
が催され拝聴した。藤森は1942年生まれ、1962~67年の5年間、土門に師事した(2代目内弟子)。『筑豊のこども』『古寺巡礼』などの時代のエピソードのあれこれなど貴重な話満載だった。土門の写真に対する姿勢は「調べる・見る・感動・凝視・撮影」の5段階だそうです。また、室生寺でもそうですが「鬼の土門」は気に入ったところしか撮らない。対象の寸法を測り、仏師の気持ちを推量する。「失敗がいい結果を生む」という態度。「やさしく強く」がモットー。土門にとっては「写す=生きる」であった。土門は弟子に「教える」ことをしない。藤森は土門から「人生の生きざま・姿勢」を学んだ。
筑豊のこどももそうだが浅草のこどもも、そこに切り取られているのはまさにあの時代の「僕たち」である。リアリズムの極致なんでしょうね。内灘も砂川も羽田も釜ヶ崎・ヒロシマも、「カメラとモチーフの直結」になるのでしょうね。文楽も仏像も焼き物も俳優・小説家も、彼の手にかかると演出を超越した真実が写し取られていくのでしょうね。
タバコをくゆらせ厳しくさびしげなまなざしのセルフポートレイト(本記事にアップした写真の右上にある)。ポストカードになってたので図録と一緒に買いました。