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癌日記:2012年2月17日(土)

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昨日2月17日は病院診療予約日。雪が降りしきる中、9時過ぎに病院着。1年前はこの道はほとんど未知の世界だったのが、いまではすっかり慣れた道になっている。とはいえ雪道、ときどき対向車でヒヤリとすることもある。
予約は9時半。受付を済ませて外科前で待っていたら妙齢の女性に声をかけられてドギマギ^^。彼女Iさんは看護学校の学生でこの病院の実習生(というのだろうか)。1月27日から2月12日の入院時、僕の担当になっていた。1日に何回か検温・血圧測定・脈拍測定・腹の具合チェック。昼食時は話し相手も。その彼女、2月17日に僕が外来で来るのをご存知だったんでしょうね、付き添いの看護学校の教官とご一緒に待合室の僕に会いに来られた。ビックリしたのですが僕のためにカードを作りプレゼントしてくださった。アップした写真、上のカードがそれです。「奥村隆信さんへ」と題したカードには「食事で気を付けて欲しいこと」「なるべく避けてほしい食品」「心がけて食べてほしい食品」「こんな症状が出たら診察を・・・」の4項目について丁寧な手書き文字で綴られている。僕が食事に困っていることを愚痴ってたのでこういうカードを思い着かれたのでしょうね、カード裏には「無理せず/食べたいものを/食べれるだけ・・・」とも。
Iさん、ありがとうございました。近い将来になるのでしょうが、患者を思いやれる看護師として御活躍されることを祈っております。もしあなたがこの病院にご勤務になれば、そしてもし僕が2年・3年と長生きできれば、またお世話になることもあるかと思います。その節はよろしくお願いします。

いつもはそんなに待たせない病院なのだが、今回はなぜか待ち時間が長かった。せっかく9時半に予約してあったのに11時過ぎてもまだ声がかからない。病院の名誉のために言っておきますが、こんなに待たされたのは初めてです。
待ち時間にアップした写真、下の本
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄 上』(草思社文庫。2012年2月10日第1刷。900円+税)
を読み耽る。『銃・病原菌~』は刊行当時読みたかったのですが、値段の高さと内容の高いレベルとで買わず仕舞いだった。朝日新聞「ゼロ年代の50冊」で1位に輝き、やっぱり読みたいなぁと思ってた。その本が文庫本になったのを知ってさっそく購い求めました。草思社の本は何冊か持ってますが、文庫があるのは知らなかった。一周年だそうです。
本書、帯の惹句通り「知的興奮の書!」。ワクワクドキドキしながら読んでいます。ダイアモンドがニューギニアで出会ったヤリの質問「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」(p24)。その質問は「なぜ、ヨーロッパ人は、遺伝的に不利な立場にあったにもかかわらず、そして、(現代では)知的発育にダメージをあたえうる悪影響のもとで育っているにもかかわらず、より多くの『Cargo(積み荷)』を手にするようになったのか。私がヨーロッパ人よりもずっと優れた知性を持っていると信じるニューギニア人は、なぜ、いまでも原始的な技術で生活しているのだろうか。」(p38)ということになる。そしてダイモンドが導き出した答えは「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」(p45)。
僕の持っている知識は微々たるものだが、著者の仮説を検討したり論理的展開を跡付けたり・・・まあどこまで読めるかわかりませんが、今までにあまり経験したことのない類の読書です。赤線を引きながら読み進めています。

9時半から待ち始めようやく11時15分頃に声がかかる。血圧測定(118-75。僕は100を切ることが多いのだがこの日はよかった。脈拍70)、体重測定(49.7kg。着衣でなかったら48kg弱でしょうね)。
主治医のTドクによる診察。先日のPET/CT検査の結果を踏まえて今後の治療について。TドクではS状結腸が気にかかるとのこと。ベッドに横になって肛門から探られたが(痛かったあ!)問題はなさそうとのことではあったが。
僕の場合、胃癌は3つのルートで転移している。1つは肝転移でこれは切除してその後も順調に回復。リンパ節からのはまだ小さい転移が残ったまま。そしてPET/CT検査で明らかになったのが腹腔播種。それとは別に大腸癌はまだ残っている。
抗癌剤(化学療法)のTS1を2月18日から始める。これで8クール目です。今回はシスプラチンは併用せず。3月2日、3月9日に診療予約。3月9日CT検査大腸癌の手術は早ければ3月に実施。QOL(Quality Of Life生活の質)ってやつでしょうね、Tドクにはいつもいろいろ気を遣っていただき感謝している。

会計。前回の入院費を払う(日曜日に退院したので払えなかった)。1月27日~31日が4310円(保険適用前は19,2680円)・2月1日~17日が4,9160円(同じく30,0340円)で合計5,3470円。もっと高いと思ってたのだが意外と安かった。
僕は2月17日に職場復帰し、18日からは1時~3時35分のプライベートレッスン担当。18日の病院、思ったより時間がかかり、診療・会計を終えた時には12時を過ぎていた。病院内のレストランで昼食。このレストラン、メニューは豊富なのだが食べられそうなものがなく、天どんか天ぷらそばか迷って天ぷらそばに。ところがやっぱダメでした。そば幾筋かとえび天3割くらいとおつよ少々がやっと。レストランが悪いんじゃなく自分が悪いのですが「何でこんないまずいのだろう」でした。
薬局。待ち時間を聞いたら出勤がきつくなりそうで、勤務終わってから来ることに。4時半過ぎに再訪。2万円近い薬代で手持ちのお金じゃ足りなかった(恥)。カード支払いもできないってことで1万円だけ入れて残りは3月2日の診療時に払うことに。今回の薬は、
抗癌剤の、TS1
腸閉塞用の、ツムラ大建中湯
消化系の、ゴクミン錠・タフマックE・重質酸化マグネシウム
前立腺肥大用の、フリバスOD・ベシケアOD
増血剤の、フェロチーム
の計8種。すっかり「薬のデパート男」っすね(激爆)。

富山国際学院に1時少し前出勤。1時から3:35、Jさんのプライベートレッスン。昨年の12月19日以来の授業。「歌を忘れたカナリア」状態じゃなかったので一安心。日本語教師ってやっぱ授業中が一番充実してますね。
by tiaokumura | 2012-02-18 15:03 | 癌日記 | Comments(0)


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