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癌はやっぱり金喰い病

江国滋は1997(平成9)年2月6日に食道癌が見つかり、2月21日に築地がんセンターに入院。同年8月10日に永眠。
江国『おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒』(新潮文庫)には、「会計からの請求書」も出てくる。4月14日(月)の再手術日に出てくる「平成9.3.1~3.31」の請求書(同書pp191-192)によれば、「合計」が3190470円、「保険診療外金額」が1023000円で、「今回請求額」は1715330円。5月12日(月)の「平成9.4.1~4.30」の請求書(pp273-274)の場合、合計が1564420円・保険診療外金額が990000円で、「今回請求額」は1294630円。「保険診療外金額」というのは「特別室料」のことのようです。江国は国民保険で7割負担(今は違う?)。彼は僕と違って高額所得者なのだろうが、
金が湯水のように出てゆく。・・・先のことを考えると暗澹たる思い。(p273)

さて僕の場合。江国から約15年、医療技術の進歩は目覚しいでしょうから、江国以上の治療を僕は受けているのでしょうね。
入院先の病院は月末締めで10日請求。勤務先の富山国際学院も月末締め10日給料。出入りの違いはあるけど同じで覚えやすい^^。7月10日は日曜だったので11日(月)に事務の方が請求書を病室に持参。
大きいのは「手術」でしょうね、141929点。次いでDPC包括ってのが39728点、麻酔18715点など。「保険」合計が2063770円、「保険(食事・生活)」合計が12522円、「保険外負担」(5日間くらいいた個室料金の差額かも)が16892円。「負担額」(実際に僕が払うお金)は「保険」分が98068円、「保険(食事・生活)」が4420円、「保険外負担」が16892円の計119380円。待ってても値切ってもらえるもんじゃないから^^、即日VISAで支払いました。クレジットカード、使えるんですね。

正岡子規にもお金の話が出てくる。当時の子規の収入は、陸の日本新聞社から40円、ホトトギスから10円の計50円(『仰臥漫録』角川ソフィア文庫)。同書9月30日の記事に当月の払いが32円72銭3厘とある(p95)。内訳は家賃6円50銭、魚(さしみ)6円15銭など。業病はもうどうしようもない段階だったんでしょうね、医者代・薬代はあがっていない。

癌って金喰い病なんでしょうね。日本人の国民病ともいえそうな癌だけど、抗がん剤にしても保険適用外が多いみたい。あまりにも癌が多様すぎて、治療法も定まらず抗がん剤の効果もはっきりしないからでしょうか。子供のころ「丸山ワクチン」が話題になってましたが、今はどうなんでしょうね。
同室者によると抗がん剤、お金が続かないとか。金の切れ目が命の切れ目、余命は金次第、なんてこと、癌患者の場合は深刻なんでしょうね。最後は個人の経済力・死生観・価値観に帰するのだろうが、ビンボー人の自分、あんまり無駄金使いたくない、ってとこかなぁ今は。

(注)
江国の国は正しくは口+或。
by tiaokumura | 2011-07-12 16:35 | 癌日記 | Comments(12)
Commented by tubomim at 2011-07-13 02:05
すでに長文をお書きになれるように回復されましたね、嬉しいことです。お金を食う話は嬉しくありませんが、でもやはり健康第一。
Commented by jackie at 2011-07-13 04:35 x
ホント、がんはお金がかかるようですね。巷であんなに「ガン固有の保険」が出ているくらいで。自分も入っていますが、一時金が下りるタイプもつけようかと、思い始めました。
「おい癌め~」今読んでます。黒岩比佐子さんのブログも読みましたよ。このような内容のものに目を向けるきっかけをいただき、ありがとうございました。とても参考になりました。
奥村さんは、ご養生なさってくださいね。ちょくちょく、見に来てます
(*^.^*)
別で再コメントいたしましたが、ぜひ、リンク張ってください!今後もよろしくお願いします!
Commented by かねごん at 2011-07-13 07:35 x
奥村先生おはようございます。
僕の父も母も癌を患いました。確実に僕のDNAの中にも癌の遺伝子が潜んでいるんでしょうね。
お金は確かに掛かりますが、どんなにお金を積んでも命が買えないのも事実ですよね
奥村先生は、退院後は新たな人生観のもと、猛烈な輝きを放っていくと思います。先生これからですね。
Commented by 増山 at 2011-07-13 07:52 x
正直、今回の金額はそんなに高いと思いませんでした。これからなのかな、保険適用外の抗がん剤が多いということなので。

不妊治療も、100%自己負担です。30代のはやいうちから治療をはじめてるのに、なかなか結果が出ない人は、もう家が1件建っちゃうくらいお金をつぎこんでるのに、結果はでない上、30代といういい時間までとられちゃって、どうしようもない気分のようです。これも、どの時点で治療をやめるか、人生観みたいなのが問われます。「やめどき」を決める難しさというか。
Commented by tiaokumura at 2011-07-13 14:43
tubomimさま、コメントありがとうございます。せっかくこうして癌を記事にする機会が得られたので、病気のこと・病人のことなど綴ってみようと思っています。これからもどうぞよろしく。
Commented by tiaokumura at 2011-07-13 14:46
jackieさま、黒岩比佐子さんのブログも訪問されたのですね。関学での講演を楽しみにしてたのですが、不帰の客になられて・・・。まだまだこれから大活躍される方をなくしてしまいました。彼女の御著書もぜひお読みください。当ブログ中に、何度か紹介しています。
Commented by tiaokumura at 2011-07-13 14:49
かねごん先生、いつもコメントありがとうございます。
かねごん先生も大事なお体、健康にはくれぐれもご留意を。
「猛烈な輝き」、自信はありませんが、かねごん先生のご期待に少しでも応えられたら嬉しいのですが・・・。
Commented by tiaokumura at 2011-07-13 14:53
増山さま、確かに不妊治療も大変なんでしょうね。お金も精神ももちろん肉体も。
僕の癌の場合、経済的にはまだ序の口です。
今夜主治医から話を聞く予定です。退院後のあれこれ考えるといささかウンザリかも。でもしょうがないですよね。
Commented by つぼみ at 2011-07-13 18:30 x
先生のこの日記はきっと皆さんの役に立つものだと思います、特に実際になってみないと実感できないことが多くありますね。家の父も昨年急にがん(気管)と宣告され、結局手術が難しくて保守的な治療しかできませんでした。その時私もいろいろ検索し、役たつ情報をほしかったのでした。
Commented by 平名 at 2011-07-14 05:54 x
 丸山ワクチンは、確か「アンサー」って名前に成って保険適用に成っていますが 適用後は効かないのか話題に成らなく為っています。 CWSは効いていたがノカルテ”アCWSは、あまり効かず個人差大 癌差か? どんな治療にするかそれが問題だ、、 笑って過ごすのも免疫力アップに成り好いかも
Commented by tiaokumura at 2011-07-15 16:16
つぼみ様、癌にもいろいろあるので僕の癌日記どこまで参考になるかわかりませんが、どこかで役立ってもらえてたら嬉しいです。
誤った情報が流れないようにしているつもりですが、1個人の例なので、ちょっと心配も。
Commented by tiaokumura at 2011-07-15 16:19
平名氏、中井久夫の本に丸山ワクチンのことが出てた記憶があります。手元にないので確認できませんが。そうですか、今は「アンサー」ってんですか。
日本語の聴覚教材に「笑いによって難病を克服した話」が出てきます。アメリカ人だったか。被災地もそうですが、笑いって大切なんでしょうね、人間が生きていく上で。


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