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富山で若冲を観る

25日は命日。今年のカレンダーで土日の25日は4回ある。信心薄き身ながら、10時過ぎお寺さんを迎える。浄土真宗の定番になるのでしょうね、鳩摩羅什訳・仏説阿弥陀経。
地元紙で若冲『糸瓜群虫図』が25日までとの記事を読んだ。昼食を早目に済ませ富山県水墨美術館に向かう。

家から約20分で富山県水墨美術館。ここは駐車場から美術館入口までの通路がいい。100年後が楽しみな造園。館内、思っていたより空いていた。シニアカップルが6割といったところか。
展示室2室。一室目すぐに「1 華麗なる琳派」。宗達下絵・光悦書『忍草下絵和歌巻断簡』の次に宗達『伊勢物語図色絵「大浜」』。24cm×21cmですから日本美術では小品サイズでしょうね。左上に女、右下に男と対角に配す。右上から歌(「大淀の・・・」)が始まり、下の句が対角に沿って川の流れのように男の頭上まで伸びる。伊勢物語第75段の男女の贈答歌は次の通り。
女 おほよどのはまにおふてふ見るからにこゝろはなぎぬかたらはねども
男 袖ぬれてあまのかりほすわたつうみのみるをあふにてやまむとやする
女 いはまよりおふるみるめしつれなくはしほひしほみちかひもありなむ
男 なみだにぞぬれつゝしぼる世の人のつらき心はそでのしづくか
男は恋人レベルから夫婦レベルになることを望んだ。だがつれなくも女は「見るからにこゝろはなぎぬ」のレベルで留まると言う。早い話が男は袖にされたんですね^^。「世にあふことかたき女になむ」で終わる第75段、ボクのようなもてない男には「業平、ざまぁ見ろ」ですが(激爆)、『伊勢物語図色絵「大浜」』を観る江戸期の人々はもっとロマンを感じたことでしょうね。この絵、男女の心理的距離を具象化した名品でしょうね。書は水無瀬氏成という公家。この作品、益田鈍翁旧蔵だそうです。
他に、光琳(『宇治橋図団扇』)・抱一4点など。

伊藤若冲は全部で10点(「2 若冲の魅惑」)。墨画7・著色3、細見美術館蔵6点・特別出品4点(『糸瓜群虫図』など)。
今回の出品中、私たちが普通に若冲として刷り込まれているイメージに最も近い絵は『雪中雄鶏図』でしょうね。若冲30代の作品。後の若冲の全てを胚胎しているような作品。不安定で不気味で擬人的な雪と竹は世間で、色鮮やかで量感を湛える雄鶏は若冲か。
『瓢箪・牡丹図』。双幅・墨画。若冲40代の作品。『瓢箪図』、画面下半分にユーモラスで孤独感漂う瓢箪。『牡丹図』、墨の濃淡だけで牡丹を描き胡蝶を配する。賛は「描かれたモチーフを禅宗の文脈のなかで解釈」(細見美術館『琳派・若冲と雅の世界』)。
『糸瓜群虫図』。絹本著色。虫食いのある糸瓜、11種いるという虫。若冲の自然観照によって導き出された作品なのでしょうが、どことなく不思議な絵で、ルソーを見るような錯覚に陥る。11種類虫がいるそうですが、ボクは目が悪いし虫をよく知らないので、館内では6種までしか数えられませんでした^^。『糸瓜群虫図』は25日で撤収し、27日からは『里芋図』が入るそうです。
若冲の最高傑作を揃えた展覧会ではないようですが、富山で生の若冲を10点も観られてまずまず幸せでした。

『京都細見美術館 琳派・若冲と雅の世界』(富山県水墨美術館。5月16日まで)は他に「3 祈りの美」「4 王朝の雅と源氏絵」「5 かざりの意匠」。

来月8日に京都に等伯・冷泉家を観に行きます。時間があったら若冲ゆかりの石峯寺にも寄ってみたい。
by tiaokumura | 2010-04-25 21:33 | 美術 | Comments(0)


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