楽しみな「美術館コンサート@富山県立近代美術館」

先日メールで応募した「美術館コンサート」、抽選の結果運良く「当たり」となり^^、「入場整理券」が送られてきた。
このコンサートは「とやま室内楽フェスティバル2009」の一環として行われるものです。同フェスティバルは
とやまを愛したゴールドベルク夫妻を偲び、その縁に連なる音楽家たちによるセミナーを主体とする音楽祭
です(「とやま室内楽フェスティバル」公式サイトより引用)。

Wikipediaの英語版Szymon Goldbergの末文に
He died in Oyama-machi, Japan.
とあるように、富山はゴールドベルクの終焉の地です。以下、彼の経歴をWikipedia英語版から私訳により抄出引用(一部補充)。
Szymon Goldbergは、1909年6月1日ポーランド生まれ。中島敦・松本清張・太宰治・埴谷雄高と同じく、今年2009年が生誕100年ということになります。ワルシャワでヴァイオリンを学び、1917年にベルリンに移りCarl Fleschに師事する。1921年にワルシャワでデビュー後、1925年から29年までドレスデン・フィルのコンサートマスター。1929年には、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)のベルリン・フィルのコンサートマスター。かのフルトヴェングラーに指名されしかも弱冠20歳ですもんね、すごいことです。だが、時はナチス(the Third Reich)の台頭期。ユダヤ人の彼は1934年にはベルリン・フィルを去らなければならなかった。その後欧米などで音楽活動(ニューヨークデビューは1938年)。アジアツアーの途中のジャワで日本軍により抑留生活(1942-45年)。戦後、アメリカに渡り1953年にアメリカ市民権(英語読みだと「ゴールドバーグ」でしょうね)。オランダ室内管弦楽団(1955-79年)・新日本フィル(1990-93年)の指導・指揮活動の傍ら、アスペン音楽学校・エール大学・ジュリアード音楽学校などで教鞭を執る。1993年7月19日、富山県上新川郡大山町(現在は富山市に編入)で没。享年84歳。

富山との関わりは、「とやま室内楽フェスティバル2009」公式サイトの「シモン・ゴールドベルクと富山」をご覧下さい。
立山山麓に「立山国際ホテル」があるのですが、そこの471号室がゴールドベルク氏と奥様の山根美代子さん(1939-2006。ピアニスト。ゴールドベルクと1988年に結婚)のお住まいだったそうです。そして現在その部屋にはお二人の思い出の品々が保存されているそうです。

9月23日は、早めに富山県立近代美術館に行こうと思う。シモン・ゴールドベルクの美術コレクションが同美術館に寄贈されており、現在「シモン・ゴールドベルク生誕100年 音楽家からの贈り物」として展示中(10月18日まで)。コンサートの前にそれを観ようと思う。
コンサートは、シューマン「ヴァイオリンソナタ 第1番 イ短調 Op.105」(Vn.安芸晶子、Pf.ジョアン・パネッティ)など全3曲。

美術と音楽に浸れる幸せな秋の夕べ-今から楽しみです。
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# by tiaokumura | 2009-09-13 15:51 | 富山 | Comments(3)

ひら井@近江町市場

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9月12日(土)、田中よね先生「『みんなの日本語中級Ⅰ』を使って教える」@リファーレ(金沢)を受講してきた。

勤務先の富山国際学院からは僕を入れて5人も受講。内の1人の粕谷謙治さんと午前8時に富山駅南口改札で待ち合わせ。8:06発の金沢行き普通電車に乗る。粕谷さんとは富山大学編入同期で2年間同級生(粕谷さんは卒業後同大学の大学院に進学)。そんなこともあって共通の話題も多く、車中あれやこれや雑談。日本語教師としての女性の有能さを否定するものではないが、富山国際学院15人のスタッフ中で男性は彼と僕だけなので、彼とはセクハラやパワハラを気にせず割と気楽に馬鹿っ話もできる。僕の数少ない富山での男友達ですね。ってえも、もちろん日本語教育のことも金沢までの約70分の車中、少しは話題にしましたよ(汗)。

金沢駅東口から歩いて約8分、会場のリファーレに入る。
今回の研修は、『みんなの日本語』(初級の定番中の定番教科書。スリーエーネットワーク)の待望の中級編が出たってことで、約65名もの受講生。受付で、いつもここでの研修会は1000円払ってるので今回もそうだと思って払おうとしたら、「無料」とのこと。ラッキー♪ 
教室内は既に大勢が着席済み。空席がなかなか見つからず、最前列が空いていたので粕谷さんと並んで座る。田中よね先生(『みんなの日本語』『みんなの日本語中級Ⅰ』の共同執筆者のお一人)が既に講師席にいらっしゃったので、名刺を差し出して初対面のご挨拶。こういうの、自分、ここ数年で場慣れしてきたかも(嘘爆)。前日の金曜日に富山国際学院をご訪問いただいたスリーエーネットワーク立部さんもいらっしゃったので、こちらにもご挨拶。
9時半から12時半までの研修。田中先生は関西ご出身だからでしょうね(大阪のお生まれとのこと)、サービス精神に満ちた内容の研修でした。一方的なレクチャーではなく、受講生同士でロールプレーさせたり、あれこれ質問を投げかけて考えさせたり。いつもは無口な僕(照)も何回か自分の考えや疑問を口に出すことができました。
『みんなの日本語中級Ⅰ』は今年度担当するクラスでの使用予定はありませんが、教科書分析・補助教材作り・Can-Do-Statementsなど少しずつ準備していこうと思う。

終了後、田中先生にお礼を申し上げて会場を後にする。粕谷さんを誘って近江町市場へ。築地の場外市場みたいなところです、近江町市場は。土曜日とあって観光客などで賑わっていた。「行列のできているお店でお昼を食べよう」ってことで、市場の中ほどにある「ひら井」に並ぶ。並んだ時点では15人目くらいだったでしょうか。並ぶこと約20分、店内に誘導される。うなぎの寝床みたいな縦長(戸のあつらえからいけば横長?)のお店。
海鮮丼(2000円)、生ビール(中)2杯、それに茶豆をいただく。今回の研修が無料で1000円儲かった?ので、思い切って大奮発した昼食でした(激爆)。
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# by tiaokumura | 2009-09-12 13:06 | 美味録09年 | Comments(0)

川上弘美『七夜物語』、連載開始

『センセイの鞄』がTVドラマ化され(演出久世光彦)、オン・タイムでか再放送でか忘れたが観て、ツキコさん=小泉今日子はともかく、センセイ=柄本明はミス・キャストじゃないかなぁと思った。柄本明は確かに演技のうまい存在感のある役者なのだろうけど、原作を読んだ僕の「センセイ」は、林望(「センセイ」は「古文の先生」ですもんね)を加齢し痩身にしたイメージだった。愛読者ってぇのは身勝手なもんなんでしょうね^^、それぞれに勝手に抱く「センセイ」のイメージ。僕はタレントに疎いのだが、フランスにいたことのあるナントカって俳優が、強いていえば「センセイ」の適役だと思う。TVドラマでは、久世演出だからでしょうね、樹木希林や加藤治子も出ていました。

川上弘美朝日新聞連載小説『七夜物語』が、今日(9月10日)の朝刊から始まりました。
 さよは、いつも不思議に思っていた。
が書き出し。酒井駒子

川上弘美(1958-)は『センセイの鞄』で初めて出会い好きになり、その後『蛇を踏む』『神様』『溺レる』『パレード』『真鶴』などを読みました。彼女の作品の魅力を一言で言うと「のほほん感」でしょうね。川上がどうやってそういう文学世界・文体を身につけたのか知りませんが、あるいはアメリカ(異国)での少女生活・お茶の水女子大理系出身・教員経験・主婦といったあたりが、川上ワールドを醸し出しているのかもしれません。

『七夜物語(ななよものがたり)』は、連載前の朝日新聞記事(9月5日付)の川上の弁を引用すると
「もともと児童文学が大好きで、いつか子どもが主人公の物語を書きたいと思っていた。最近、長編をようやく書けるようになって、いよいよ書いてみようと思った」
だそうです。「七夜物語」とは、「私の小説の中では一番小さな主人公」(川上)である「さよ」のお気に入りの本のタイトル。
「さよが大好きな『七夜物語』が入り口となって、さよと仄田くんは不思議な世界に入って行き、七つの夜を体験します」
本の世界に入っていくという趣向は、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』などを連想させますね。
「さよ」は、小学4年生になったばかりの女の子。「小学4年生」という設定もこの小説では大事なポイントなんでしょうね。

最近の新聞連載小説では渡辺淳一『失楽園』(1995-96年。日本経済新聞)がありますが(もう「最近」ではないか^^)、今日から始まった川上弘美『七夜物語』、毎朝新聞を読む楽しみが増えました。

(同日追記)
酒井駒子須賀敦子『こうちゃん』の挿絵も描いています!
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# by tiaokumura | 2009-09-10 20:18 | | Comments(0)

「日本の食改革プロジェクト」のご紹介

実弟関西学院大学の聴講生をやっていて、その関係で同大学の寺本益英教授(関西学院大学経済学部教授・総合教育研究室副室長)とご面識を得、これまでに3回、実弟を交えて食を共にさせていただいた。
僕は寺本教授のブログ「寺本益英の日記」にほぼ日参^^しており、そこで最近知ったのが、寺本先生の教え子たち(関西学院大学・聖和大学)による「日本の食改革プロジェクト」という取組みです。先日、そのホームページにアクセスし、そこのメールフォームで、同HPのリンク及び活動の紹介を希望する旨を問い合わせたところ、平田小織さん(聖和大3回生。関西は~回生って言い方するんですよね)からOKのお返事をいただきました。
「イマドキの若者は~」って、古今東西必ず言われる批判フレーズですが、僕は関西の「イマドキの若者たち」の活動に大いに期待したい。人集め・お金のやり繰りの大変さ、志を受け入れ理解してくれない世間の冷たさ、仲間内でのいさかい・相互不信、運動体のエネルギー噴出の危なっかしさ、年長者との真剣勝負、学業・就活・バイト・サークル・恋愛などとの両立・鼎立・n立^^などなど、彼ら・彼女らを待ち受ける困難の数々にひるむことなく、青春のエネルギーを思う存分注ぎ込まれることを願う。結果はどうであれ、このようなプロジェクトを経験することによって彼ら・彼女らの一人ひとりの人生が豊かになることは確かである。ご多忙な寺本先生ではいらっしゃるが、学生諸君の「大失敗」はきっとカヴァーされることであろう。

以下に同プロジェクトのサイトのトップページを引用させていただく。なお、当ブログの機能制限上、各行全て左詰で引用させていただく。


日本の食改革プロジェクト
栄養バランスの崩れ、孤食、安全性への不安、伝統的食文化の衰退など、
一見豊かに思われる「日本の食」の中にも、様々な問題が潜んでいます。

また食は人間にとって最も基本的な営みであり、
コミュニケーションの手段でもあります。

我々は空腹を満たすためにのみ食事をとるのではなく、
食にはもっと奥深い意義があるのです。

このような食の意義を共に考え、また食に関するさまざまな問題を知り、
その問題を改善していくのが私たちの目的です。

詳しくは活動内容に載せていますが、著名な先生方による食に関する講演会を行います。
そしてその時、参加費として来場者の方々から集めたお金は、
世界の飢餓で苦しむ恵まれない人々に寄付しようと考えています。



右にもリンクしておきましたが、「日本の食改革プロジェクト」のホームページはこちらです。皆様もぜひご訪問ください。
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# by tiaokumura | 2009-09-05 16:46 | このブログのこと | Comments(4)

この三日間、当ブログにアクセスしにくくなっているようです。

メカ音痴なもんで^^ようわかっとらんのですが、この三日間こちらのブログに入りにくくなっているというご連絡を受けました。
8月31日(月)に一日742というアクセス(新記録)が殺到したせいでパンクしたのか、あるいはこのブログはexcite.ブログに属するのですが大家さん(excite.)側の不具合でテナント(当ブログ)に影響が出ているのか。あるいはアラシのせいで当ブログが攻撃されているのか(その可能性はほとんどないと思う)。あるいはまた別の原因か。
いずれにしましても、ブロガーとしては当ブログを放置・放棄するつもりは、今のところございません。毎日は無理ですが、可能な限り更新し続けて参ります。アクセスしにくい時は、時間を置いてまたアクセスしていただけましたら幸甚です。
奥村隆信 敬白
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# by tiaokumura | 2009-09-03 20:39 | このブログのこと | Comments(4)

異国の地で読みたい本(1)

選挙特番見過ぎで、今日は寝不足諸氏が多いことでしょうね^^。それにしても戦前のマスメディアの予測的中なんでしょうが、Wスコアどころかトリプルに近い民主vs自民ですもんね。前回は「郵政」、今回は「政権交代」と、オセロゲームの一着手で一挙反転を見る思いです。二大政党制が成熟するまでにまだ2回くらいの総選挙が必要なんでしょうね。今は、小選挙区制がファッショの温床にならないように祈りたい。
民主党に投票された皆さんは性急に結果や利益を求めず、ここはじっくり民主党を育ててやろうという意思表示をされるといいのでは。民主党の代議士は身が引き締まる思いでいるでしょうが、100日後「民主党を選んでよかった」と支持者に思っていただけるようにマニフェスト実現の努力を。そして、やはり気になるのは小沢”選挙上手”の動き。この後、自分の思うとおりにならんからと言って、小沢グループを引き連れて分党=政界再編成なんてならないといいのですが。数でいけば、小沢グループ+自民党半分=200超え可能ですもんね。
当ブログ、相本記事のせい?でしょうね、先週今週とアクセスが通常の倍以上の日も(いつもは1日100くらい)。そして今日に到っては一日アクセスの新記録達成(これまでは557だった)です。明日からはいつものペースに落ち着いてくれるとありがたい。

今日の記事のメインは選挙ではありません(汗)。
秋の海外出張のプラン、先週地元の旅行会社のAさんにお願いしました。10月に1回、11月に2回、僕は異国の地で過ごすことになります。
僕が外国に初めて行ったのは2000年8月のパリ旅行。妻と二人っきりでパリの街を散策した、死ぬまで思い出に残る海外旅行です。あとは中国4回カトマンズ・バンコク・ハノイ1回、計5回の海外出張。パスポートのスタンプ、20以上になっているでしょうか。僕の10年パスポートは来年更新になります。

海外出張では現地で通訳の方もお願いしますが、旅慣れない身としては、日本語がほとんど通用しない飛行機内・到着空港・現地プライベートタイムなど不安がいっぱい。そんな旅先で心を休めるために、今回は何冊かを持っていこうと思います。無論これまでも旅行カバンに本を忍ばせてはいましたが、今秋は意識して本を選択し、異国の地にあってある時は眠れぬ夜のホテルで・ある時はカフェの片隅のテーブルで・ある時は子どもたちの声がする公園で・ある時は初めて食する料理が運ばれてくるのを待つ合間に、持参した本を読もうと思う。
出発までの間、さてでは何を持参するか、あれこれ思案するという人生の楽しみが一つ増えました。

あまり重くないってぇのが海外持参の条件の一つでしょうね。ここで「重くない」ってのは、目方と内容の深刻さの両方の「重さ」です。じゃぁエンタメ系がいいかと言うと、それはない。異国の地で万が一ボクが没することがあった場合、カバンの中身って絶対チェックされますよね、「念のため」とか言われて。そんな時に変なモノがカバンの中に入ってたら、「日本人」の一人として恥ずかしい限り。エンタメ系が悪いってぇんじゃないのですが、「そっか、この日本人、こういうすばらしい本を読んでたのか」と思われるほうがカッコいいじゃありませんか。ん、ワシってええカッコし?

今日現在考えているところでは、夏目漱石『夢十夜』、森鷗外『阿部一族』、中島敦(昨日の朝日新聞に川村湊『狼疾正伝』の阿刀田高による書評が出てました)、『徒然草』、『奥の細道』、『風姿花伝』、本居宣長『うひ山ぶみ』、宮本常一、永井荷風あたりが「候補作」です。確かいずれも文庫本で入手可能なはず。海外出張の荷物はスーツや仕事関係の書類で重くなるので、本は文庫本(か新書本まで)が一番です。また、初めて読む本よりは再読・三読・四読・・・を選んだほうが、非日常の世界で神経をすり減らす海外では無難でしょうねぇ。
「数独」も今回の海外出張のお供をします^^。

まだ先の海外出張ですが、本選びが楽しみです。あと、出発まで新型インフルエンザにかからんようにしとかなきゃ^^。
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# by tiaokumura | 2009-08-31 20:05 | 海外出張09余録 | Comments(4)

小西弘通先生「富山”観世塾”」

還暦過ぎて「趣味は何ですか?」と問われても言葉を濁すしかない寂しい^^人生。無芸中食男なんですね、ボクって。で、一念発起ってぇな大袈裟なことでもないのですが、今年1月だったか地元紙の北日本新聞に出てた記事で「富山”観世塾”」を知り、2月から受講しています。講師は小西弘通先生。同塾案内ちらしに拠れば小西師は、「観世流シテ方 富山松友会顧問」という肩書。「重要無形文化財総合指定保持者・能楽協会 大阪支部常議員」も。
先月はイベント参加で欠席したので、今回で2月から通算6回目の受講ということになります。
昨日8月29日(土)、11時過ぎに家を出て、富山駅前CiC3Fの富山市民国際交流協会に立寄る。銭輝老師に仕事のことなどでアドバイスをいただく。話し込んでしまって気がついたら12時15分過ぎ。能楽堂に行く途中で食事する時間もなく、途中コンビニでおにぎりでも買ってと思ったのも叶わず、結局昼食抜きで能楽堂に入る羽目に。とほほ。

小西弘通先生「富山”観世塾”」8月の3曲は、『経正』『班女』『玄象』。今回の小西師は、「経正(幽霊・魄霊)」「花子(狂女)」「尉(翁)・村上天皇」。わずか3時間の間にこれだけの役を演じ分けられるのだから、プロだから当たり前と言えば当たり前なんでしょうが、すごいことです。

経正』。この講座は受講生が25名くらいなんですが、人気がある曲なんでしょうね、地謡などに10人くらいがご参加。いつも横に座っていろいろ教えていただいている富﨑茂樹さんも参加された。
平経正は「一の谷の軍破れ、討たれし平家の公達」の一人。彼は仁和寺で成長し琵琶をよくし、同寺の守覚法親王より琵琶の名器「青山」を与えられる。しかしながら時は平家に利あらず、都落ちする経正は仁和寺に立ち寄り青山を返す。平家一族は源氏の勢いに西へ敗走、哀れ経正は一の谷で討ち死に。やがて法親王の命により経正法要が仁和寺において執り行われる(ここからが能『経正』)。その場には青山も供えられる。そこに現れる経正の幽霊。「亡者も立ち寄り燈火の影に 人には見えぬものながら 手向の琵琶を調むれば」(『大成版 観世流初心謡本 中』「経正」六丁オ。以下同じ)、「あら面白の夜遊や」(七丁ウ)。だが名手が名曲を琵琶で弾ずるのも束の間。「また瞋恚の起る恨めしや」(八丁オ)、燈火の下で戦時の修羅の苦しみに襲われる経正。法要の燈火は経正にとっては地獄の業火になるのでしょうね。「燈火を吹き消して暗まぎれより 魄霊は失せにけり」(九丁オ)。
正直言うと、アホなボクは、『経正』がどうしてこんなに人気があるのかよくわからない。判官(敗者)びいき・夭折者への慈しみといった日本人の心性からなのだろうか。あるいはこの曲が、アリストテレスのいう「カタルシス」をもたらすからなんだろうか。一度舞台での演能を観て確かめたい曲です。

班女』。初めて聞く曲です。世阿弥作の狂女物。『経正』とは対照的に今度は女性がたくさん参加されました。『隅田川』もそうでしたが、女性に人気のある曲なんでしょうね。
この曲が終わって、恐れ多くも畏くも^^小西師からお声をかけられました。ちょうど休憩に入ったので、小西師の前でいろいろレクチャーしていただきました。この塾では毎回3曲選曲なんですが、これまでは平家や八大集や中国古典などの典拠・引用曲が多かった。『班女』で(たぶん)初めて『源氏物語』が登場。「折節黄昏に」「惟光に紙燭召して」(『班女』十二丁ウ)など、「夕顔」の巻です。昨年(「源氏物語千年紀」)、NHKTVで山口富蔵さん(京菓子司末富社長)が源氏物語夕顔巻をベースにした和菓子を創作されるドキュメンタリー番組を見たのを思い出しました。もちろん能には源氏に取材した名曲も何曲もあります。
先生から意外なことを教えていただいた。『隅田川』は『班女』の続篇のような関係にある-つまり、契りを交わしてから別れ別れになっていた二人が京で再会しハッピーエンドで終わるのが『班女』で、二人の間の子どもが『隅田川』の「梅若丸」とのことです。家に帰って『隅田川』を広げてみたら、確かにありました。ワキが梅若丸からの聞き取りについて語る詞に「我(梅若丸)は都北白河に 吉田の某と申しし人のただ一人子にて候が 父には後れ母ばかりに添ひ参らせ」(同書九丁ウ)。それにしても、契りを結んだ女を狂わせ、自分は早死にして一人息子を人攫いに連れて行かれるなんて、吉田少将って男は罪作りな男です。古典にそんなこと文句言ってもしょうがないんだけど(激爆)。

玄象』。これも初めての曲。この曲の鑑賞に際しての基礎知識として2つあるといいでしょうね。①村上天皇。醍醐天皇の子。醍醐天皇の「延喜の治」は日本史の教科書にも出てきますが、村上天皇も父と同じく親政を目指し「天暦の治」。末裔は「村上源氏」ですね。『玄象』との関連では、村上天皇は琵琶の名器「玄象」のコレクターであり自らも琵琶の名手。②『経正』に登場する「青山」、それから「玄象」「獅子丸」は唐伝来の琵琶の3大名器。いわば琵琶のストラディバリウスです。
藤原師長は当代きっての琵琶の名手。日本ではもう学ぶことはないと思い、琵琶の先進国・唐に渡ろうとする。今だったらジュリアード音楽院留学みたいなことでしょうね。彼は須磨で老夫婦の塩屋に一夜の宿を取る。師長は請われるままに琵琶を弾くが、それを聴く老翁の振る舞いに師長は只者ならぬ気配を感じる。「名人、名人を知る」といったところでしょうか。やがて老夫婦の琵琶・琴の合奏に驚嘆する師長。実はその翁こそ村上天皇であり、師長の渡唐を思いとどまらせようとして現れたのである。師長は、村上天皇から海中に沈んでいた獅子丸(村上天皇が下界の竜神に命じて持って来させるってぇのですから、スケールのでかい話です^^)を授けられ、秘曲を伝授される。

今回、松下覚さん(富山松友会会長)から来年もこの塾が続くというアナウンスがありました。仕事もあるので毎回参加は無理ですが、来年も受講しようと思います。そして、来年の6月頃には「地謡」で参加できたら-と夢見ています。それまでは聴くだけ・インプットだけです、受講っても(恥)。
「還暦後の手習い」ですが(照)、「趣味は謡です」と言える日がいつか来ますように。
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# by tiaokumura | 2009-08-30 15:28 | 謡を習う | Comments(0)

「集団読書テキスト」シリーズを推す

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8月11日、東京駅で上越新幹線乗車待ちの間、駅構内にある榮松堂書店に立寄った。特にお目当ての本もなかったのですが、2冊購入。その内の1冊が村上春樹『沈黙』。見慣れない装丁の本で、社団法人全国学校図書館協議会というところが出している「集団読書テキスト」第Ⅱ期の1冊だった。同書、編者は「全国SLA集団読書テキスト委員会(本巻担当 千國徳隆)」。本文前に村上春樹写真・20行の村上春樹紹介があり、本文(30ページ。総ルビではないが、読み仮名は多目)が来て、本文後に「注解」(「オピニオン・リーダー」「悼んであまりある」「煽動」など本書の場合は全部で16例)が付き、そしてそのあとに「村上春樹の年譜」(1949~2007年までカヴァー)が付くといった構成。定価はなんと184円!(税別)。
これは僕の「推測」なんですが、このシリーズって、「朝の読書タイム」でしたっけ?、始業前か始業直後にクラスで読書をするって活動、その活動のために開発された教材なのかなぁと思う。違ってたらごめんなさい。低料金、簡にして要を得た著者紹介・注解・著者年譜は、僕にそんな推測をさせました。
こういうシリーズに接することができる中高校生(あるいは小学高学年も読めるか?)は幸せだと思う。学級文庫などでぜひ読んでほしい。あるいは、お小遣いを握り締めて本屋さんに行って、シリーズ中から1冊または数冊を物色する喜び・悩みを経験してほしい(でも、地方の本屋さんには置いてないかなぁ。学校で注文できるのかも)。いやいや、僕が知らないだけで、このシリーズ、もう何年も前から「中高校生」は日常的にフツーに接しているのかもしれませんね。僕が目にしたのは榮松堂書店が初めてでした。

写真、博文堂さんにまとめて注文した9冊です。『高瀬舟』『鼻』『最後の一葉』『赤毛連盟』『首飾り』『黒猫』『藤野先生』は第Ⅰ期、石田衣良『夕日へ続く道』(石田衣良の小説はこれまで『シューカツ!』しか読んだことがない)、吉本ばなな『ムーンライト・シャドウ』は第Ⅱ期です。小説が多いですが、詩・ノンフィクションもあります。各書の構成は、上述の村上春樹『沈黙』と(たぶん)同じ。
これも僕の「推測」ですが、第Ⅰ期はクラシックまたはセミ・クラシック中心、第Ⅱ期は現代作家中心といった分け方でしょうか。Ⅰ・Ⅱ期とも、書名を見ると目利きの選び方になっています。

このブログに中高校生がアクセスしてくることはごく稀でしょうが、今回の記事は、そんな彼ら・彼女らに読んでほしい本(シリーズ)を紹介させていただきました。
中高校生諸君! 奥村ジイちゃん^^にダマされたと思ってでもいいから、本シリーズ読んでみてね♪
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# by tiaokumura | 2009-08-25 20:19 | | Comments(2)