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カテゴリ:本
  • 松田哲夫編『死をみつめて』(あすなろ書房)
    [ 2012-05-26 09:24 ]
  • KAWAII★JAPAN(「an・an」2012年5月16日号)
    [ 2012-05-13 14:17 ]
  • 「日本の総理」(小学館)・「BLUE NOTE」(デアゴスティーニ・ジャパン)
    [ 2012-01-21 14:05 ]
  • 「こたつ・みかん・読書」な夜
    [ 2011-11-22 20:13 ]
  • 井上純一『中国嫁日記』(エンターブレイン)
    [ 2011-11-12 13:32 ]
  • 『寺山修司全歌集』(講談社学術文庫)
    [ 2011-11-03 15:17 ]
  • 山本作兵衛『画文集 炭鉱(ヤマ)に生きる 地の底の人生記録』(講談社)
    [ 2011-10-20 19:44 ]
  • 加藤嘉一『われ日本海の橋とならん』(ダイヤモンド社)
    [ 2011-10-02 10:26 ]
  • 深町英夫編訳『孫文革命文集』(岩波文庫)
    [ 2011-09-25 12:24 ]
  • 『花森安治戯文集Ⅰ』(LLPブックエンド)
    [ 2011-09-24 15:30 ]
松田哲夫編『死をみつめて』(あすなろ書房)

松田哲夫・編 案内人・南伸坊
中学生までに読んでおきたい哲学
6 死をみつめて

2012年5月10日 初版
あすなろ書房
1800円+税

松田哲夫(まつだ・てつお1947-)は、丸谷才一・松岡正剛・池澤夏樹・内田樹らと並んで当代一流の読書人・本の目利きでしょうね。松田はこれまでに「ちくま文庫」「ちくま文学の森」「ちくまプリマー新書」などに関わってきている。あすなろ書房では既刊シリーズ「中学生までに読んでおきたい日本文学」の編者。本シリーズ「中学生までに読んでおきたい哲学」は「その姉妹編にあたり、日常の暮らしの中に潜んでいる哲学的な問いかけを探り当て、自分の頭で考えるきっかけになるような文章を集めたアンソロジー」(p251)。
本シリーズは南伸坊(みなみ・しんぼう1947-)が「案内人」ということだが、案内人の役割、よくわからない。
本書には松田道雄・池田晶子・神谷美恵子・河合隼雄・吉田満らの18編が収められている。柳家小さん版の「粗忽長屋」が収められているのは松田ならではの視点なんでしょうね。
こういうアンソロジーはどこから読んでもよいのだろうが、とりあえずは向田邦子「ねずみ花火」・伊丹十三「死教育」・阿佐田哲也「自殺について」・高見順「不思議なサーカス」・岸本英夫「わが生死観―生命飢餓状態に身をおいて」・埴谷雄高「死について」・石原吉郎「確認されない死のなかでー強制収容所における一人の死」を読んでみた。癌患者であったのは高見順(たかみ・じゅん1907-65)と岸本英夫(きしもと・ひでお1903-64)。

自分なりの死生観は以下のようなことかなあ。昨年 末期癌が見つかっても自分の死生観にはあまり変化はなかったような気がする。60代という年齢的なこともあるのかなあ。これが30代・40代だったら違ってたでしょうね。
①私は死んだら無になる。肉体は火葬され骨となり、骨は墓に納められやがて土へと還る。
②自分以外はみんな死ぬ。私は他人の死を経験することができるが、私には私自身の死を経験することはできない。私が死んだ時、世界は終る。
③神仏は存在しない。神や仏が存在するのなら、世界はもっとマシなはず。
④死後の世界はない。霊魂・魂も存在しない。輪廻もない。
⑤私は死ぬのがとても怖い。これは皆さんもそうでしょうね、きっと。

本シリーズ、既刊は本書と「8 はじける知恵」の2冊で、この後6月以降に「おろか者たち」「悪のしくみ」「人間をみがく」「愛のうらおもて」「うその楽しみ」「自然のちから」と続き年内に完結。
本シリーズは「小学5年生以上の漢字にルビ」「見やすい図版入り脚注つき」。今の中学生のお小遣いは月2000円くらいでしょうか。本書、定価が1200円だったらお小遣いを貯めて購入できそうですが、1800円はちょっとキツいかも。収められている諸編から定価1800円は妥当なんでしょうけど。あと執筆者の丁寧な略歴が付されているのはいいのだが、西暦で表記したほうが便利なのではないかと思った。
by tiaokumura | 2012-05-26 09:24 | | Trackback | Comments(0)
KAWAII★JAPAN(「an・an」2012年5月16日号)

NHK-BS1の『cool japan』は好きな番組の一つ。今回(5月13日再放送分)は「マンガ」で、マンガ大好き日本人・中野のマンガ専門店街・少女マンガ・高校のマンガ部の4つの切り口でマンガのクールさに迫っていた。日本の出版物の4割がマンガなんですってね。coolがカッコいいの意味で使われだしたのはいつごろからなんでしょうね。僕が持っているLONGMAN DICTIONARY OF CONTEMPORARY ENGLISH(1978年版)では6番目の意味になってて例文はYou look real(ly) cool in that new dress.。同番組の次回は「秋葉原」です。
NHK-Eテレの『トラッドジャパン』もよく観る番組です。こちらはテキストもあり、今年度定期購読中(昨年度の再放送みたいですが)。5月号は「舞妓」「端午の節句」「弓道」「天ぷら」「日本の文様」。

アップした写真は雑誌「an・an」2012年5月16日号です。マガジンハウス刊、特別定価400円。
"カワイイカルチャーが世界を席巻”と聞くけれど、どんなことが起きてるの??」では青木美沙子やPerfume、高橋理子の着物などを取り上げ、
ということは、”カワイイ”つて・・・ポップ 盛り! カラフル 原宿 ガーリー 悪ふざけ・・・なもの(p19)
とまとめる。「キッチュ」も入れたらいいと思いますが、「悪ふざけ」に入れてるのかも。
きゃりーぱみゅぱみゅ」っても当ブログご訪問者の9割以上が「?」でしょうね(激爆)。正式な名前は「きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ」で19歳。本誌pp20-31は彼女の特集。
・・・その人気は海を越えて海外へ飛び火し、原宿から遥か彼方のフィンランドとベルギーのエレクトロチャートで1位を獲得。(p26)
だそうです。彼女がデザインした「ぱみゅりん」は原宿『スピンズ』で即日完売。
ミーシャ・ジャネット(1983-)が「”ジャパニーズ・カワイイ”の10大ポイント。」を解説(pp84-87)。順にKawaii means glitter.→Adoring for the ballet.→Fab layered looks.など。彼女の分析の「日本の女性たちは・・・きっと、いつまでも少女のままでいたい気持ちがある・・・欧米女性が成熟やセクシーを追求しようとするのとは真逆の発想・・・」(p84)は、「なるほどなぁ」と思った。
ももいろクローバーZ」も当ブログご訪問者の9割以上は「?」でしょうが^^、pp36-44で特集。戦隊ヒロインやら土木ヒロインやら救急ヒロインやらの写真も掲載。p37にはごくフツーの少女たちの写真。フツーと変身のギャップがイマドキ女子の魅力なんでしょうね。
本誌でおもしろいのは「Kawaii旋風の陰で増殖する”カワイタ女”。カワイイ、イタいの境界線を判定!」(pp49-56)。「カワイタ」って「乾いた」じゃありませんよ、念のため^^。女子200名の読者アンケートで「女子らしい様々な言動をカワイイ、イタいで選別し、イタいが50%超えたところを世間の境界線と判定」(p53)という試み。例えば「妖精や小人が見えるなどと言う」は73%、「小首をかしげる」は20%など。最も「イタい」のは「アイドルのようなツインテールの髪型」で78.5%、最も「カワイイ」のは「キャラクター系の携帯ストラップを付けている」の8%。境界線(BORDER LINE)には「低血圧など、カラダの弱さをアピールする」50.5%、「両手で頬ツエをつく」の40.5%。これって要するにイマドキ女子の価値観・美意識の表れなんでしょうけど、「イタい」のほうは上述の「アイドルのような~」の次は「語尾を伸ばす話し方」で以下「舌足らずの甘い声」「自分を名前で呼ぶ」と続く。逆に「カワイイ」のほうは上述の「キャラクター系の~」のあと「鼻歌を歌う」「男の服の袖を軽くひっぱる」「驚くとき、口に手を当てる」「お願い上手」などと続く。
このあいだオープンした「渋谷ヒカエリ」のLE PAIN de Joel Robuchonでは「パン オ フォアグラ」315円を売っているそうです(p7)。機会があったら食べてみたい。
RUNがちょっとしたブームなんでしょうね、NHKの4月新番組でもありますよね。本誌ではpp57-72で特集。
「Who’s hot?(この人に注目)」(pp73-75)は吉木りさ(よしき・りさ1987-)。
綴じ込み付録は「きゃりーぱみゅぱみゅオリジナル手描きシール」。
by tiaokumura | 2012-05-13 14:17 | | Trackback | Comments(0)
「日本の総理」(小学館)・「BLUE NOTE」(デアゴスティーニ・ジャパン)

(1月26日朝・記)
シリーズ「池上彰と学ぶ 日本の総理」(小学館。全30巻。毎週火曜日発売)
1 吉田茂
2012年1月10日発売
小学館(小学館ウイークリーブック)
特別定価371円+税
池上彰(いけがみ・あきら1950-)は齋藤孝や茂木健一郎と並んで当代のベストセラー作家でしょうね。「難しいこと・複雑なことをわかりやすい言葉で解説」が彼の売りなんでしょうね、「お茶の間の名解説者」としてTV出演も多いみたい。今回本棚を探ってみたら、僕は彼の本、1冊しか持たない。酒井雄哉・池上彰『この世で大切なものってなんですか』(朝日新書 2011年7月第1刷 700円+税)。酒井は比叡山長寿院の住職で千日回峰行を2度満行。日本語の授業で池上の本をリソースにしていそうですが、こうして1冊しか持たないとは自分でもやや意外です。
「池上彰と学ぶ」と冠せられた本シリーズ、95代62人の日本の総理を全30巻に収める。1人1巻充てられているのが吉田茂・伊藤博文・原敬ら18人で、三角大福中も各1巻ずつに入る。一方で宇野宗佑から野田佳彦までの75代~95代は「平成の宰相」として1巻になるそうで、歴史の皮肉というかイマドキの総理の軽さが窺い知れる。しょっちゅう代わってますもんね。皆さんは宇野から野田まで順に言えますか。
アメリカ大統領の人気投票ではリンカーン、ルーズベルト、ケネディ、レーガンといったあたりが上位に来るようですが、日本の歴代総理ランキングってどうなんでしょうね。伊藤博文、原敬、吉田茂、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘あたりが上位に来るんでしょうかねぇ。
本シリーズ、毎週火曜日発売で、一昨日1月24日発売の『2 田中角栄』も買いました。2巻以降は定価600円(571円+税)です。

シリーズ「ブルーノート・ベスト・ジャズコレクション」(BLUE NOTE best jazz collection。隔週火曜日発売)
1 MILES DAVIS
2012年2月7日発行
デアゴスティーニ・ジャパン
特別定価467円+税
ジャズに興味がない方はご存じないかもしれませんが、BLUE NOTEはいわば「ジャズ・レーベルの岩波書店」といえばわかりやすいかも^^。アルフレッド・ライオンがフランシス・ウルフと始め、John Coltrane、Miles Davis、Thelonious Monkら「それぞれの時代にきらめいた”旬”なアーティストを見い出し、/その個性には最大の敬意をもって迎えた。/アーティストの類いまれな個性をぶつけ合わせ、生まれた奇跡のセッションは/やがて伝説となり、今もなお聴く人の心に響き続けている。」(本書p.2)。
本シリーズは各巻が「JAZZMEN」「HISTORY」「SELECTION」「BLUE NOTE BEST5」「私の薦める1枚」の5つの章で構成。本巻の「BLUE NOTE BEST5」は”Autumn Leaves” ”Yesterdays” ”It Never Entered My Mind”など。”Autumn Leaves”はシャンソンの名曲(邦題『枯葉』。ジャック・プレヴェール作詞 ジョセフ・コスマ作曲)でありジャズのスタンダードナンバーでもある。1958年3月9日、マイルス31才の録音。『死刑台のエレベーター』の翌年。”Autumn Leaves”はアルバム『SOMETHIN’ ELSE』のA面一曲目の曲でもある。メンバーはマイルスとキャノン・ボール・アダレイ(アルトサックス)+ハンク・ジョーンズ(ピアノ)+サム・ジョーンズ(ベース)+アート・ブレイキー(ドラムス)。
ジャズといえば由紀さおりのアルバム『1969』が昨年のアメリカのジャズ部門で1位とか。『夜明けのスキャット』、僕も好きでした。
by tiaokumura | 2012-01-21 14:05 | | Trackback | Comments(0)
「こたつ・みかん・読書」な夜

今年の日本シリーズ、見応えがありましたねぇ。とりわけ第4戦6回裏・中日ノーアウト満塁でのホークス左腕森福允彦のリリーフ。江夏の21球を思い出させるような投球術だった。僕、森福ってほとんど知らなかった。小柄な彼が絶体絶命のピンチにリリーフし、小池・平田・谷繁と右打者3人を討ち取った。ここが今シリーズの分岐点だったでしょうね。ホークスが2勝2敗に持ち込み、名古屋での決着がなくなった。1・2戦と馬原で負けてる秋山監督としては、「これでホームに帰れる、日本シリーズ制覇が見えてきた」ではなかったでしょうか。
今シリーズのいい点は両リーグの1位チームの対決だったこと。僕は当ブログ2007年10月10日付記事「クライマックスシリーズはいただけない」で書きましたが、今のCS嫌いです。去年「下剋上ロッテ」とかで盛り上がったみたいですが、あんなの変。今シリーズは監督の采配も見ものだった。「名選手、必ずしも名監督ならず」と言いますが、秋山も落合も名選手であり名監督でしょうね。
僕、日本シリーズは全試合TVで見ましたが、ふだんはTVは(あいかわらず)あまり見ない。ただ昨日から3夜連続のBSプレミアム『辛亥革命100年』は観てます。昨日は宮崎滔天、梅屋庄吉、山田良政・純三郎兄弟ら「革命を支えた日本人」。革命途中で命を落とした良政への孫文の想いにはじーんときました。昨年だったか新資料発見で話題になった宇都宮太郎のことは知ってましたが、秋山真之が孫文を支援していたことは初めて知りました。そのことで真之はヨーロッパに左遷されたようなんですね。
TVはあとBS-TBSの『吉田類の酒場放浪記』、けっこう観てます。1本の番組で4店紹介。ほとんどが(全部?)再放送みたいです。

アメリカ人のライフスタイルに「カウチ・ポテト」。日本人の自分、部屋にはカウチもないし、ポテトチップスも好きじゃない。さしずめ自分は「こたつ・みかん」でしょうね(激爆)。そしてカウチポテトでホームシアターやTVを見ているであろうアメリカ人に対して、自分はこたつに潜り込み時々みかんを食べながらの読書。最近は「こたつ+みかん+読書」な夜を過ごしています。最近読んでいるのがアップした写真。以下の本たちです。*は奥村の一言コメント。機会があったらもうすこし詳しく紹介できるかも。
木内昇(きうち・のぼり1967-)
茗荷谷の猫
2011年9月10日 第1刷
文藝春秋(文春文庫)
629円+税
*歌謡曲にはご当地ソングの名曲が数々ありますが、小説でタイトルに地名が入った名作ってどうだろう。川端康成『伊豆の踊子』、臼井吉見『安曇野』、三浦綾子『塩狩峠』など、そんなにないような気がする。本書、「茗荷谷」ってことで読みたいと思った。僕は木内が直木賞作家ってことも知らなかった(恥)。僕が40年以上前に通った大学が地下鉄丸の内線「茗荷谷」下車だった。本書に収録されている9編の地名、他に「本郷菊坂」「浅草」「池袋」「千駄ヶ谷」など。時代は幕末から昭和。
古川綾子(ふるかわ・あやこ1973-)
上方芸人自分史秘録
2011年8月1日 第1刷
日本経済新聞出版社(日経ビジネス人文庫)
933円+税
*著者は大阪府立上方演芸資料館学芸員。「本書で紹介する芸人さんは24名。明治から平成まで活躍の時期はさまざまだが、上方喜劇と上方演芸を代表する一流の方々」(「はじめに」p5)。24人は、横山エンタツ、ミヤコ蝶々、初代桂小春団治、横山やすし、2代目渋谷天外、花菱アチャコ、浪花千栄子、5代目桂文枝(来年、三枝が六代目襲名とか)、藤山寛美ら。この本、実は買おうかどうしようかちょっと迷ったんですが、広澤瓢右衛門(ひろさわ・ひょうえもん)が入っているので買うことにしました。
小高賢(こだか・けん1944-)
老いの歌-新しく生きる時間へ
2011年8月19日 第1刷
岩波書店(岩波新書)
700円+税
*いつだったか「詩<短歌<俳句の順に創作者人口が増え、それは10倍ずつになる」っての読んだことがある。なるほど、って説ですよね。3つの短詩型では俳句人口が一番多いのでしょうね。本書は「短歌」。人類の歴史上初めての高齢社会を迎えた日本。今その日本で「みずからの老いを眺め、考え、悩み、短歌で表現している。自分の驚きや不安、疑問、怒りなどが、五七五七七によって表白されている。素朴な感情から精緻な表現まで、・・・『老いの歌』はいまとても元気がいい。」(「序 老いの発見」p7)。
玉川重機(たまがわ・しげき)
草子ブックガイド1
2011年10月18日 第2刷(2011年9月23日第1刷)
講談社(モーニングKC)
695円+税
*「草子」は「そうし」じゃなく「そうこ」。このコミック、西荻中学生の内海草子がヒロインで、主な舞台は青永遠屋(おとわや)という古書店。「青春は、一冊の本からはじまった。」「読書の歓びを繊細華麗に描き出す幻の漫画家12年ぶりの新作。」(帯より)。「ブックガイド」の名のとおりで、その1冊目が平田禿木訳『ロビンソン漂流記』ってぇんですから、実に濃いと云うかディープなコミックです^^。
大石直紀(おおいし・なおき1958-)
RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ
2011年10月11日 初版第1刷
小学館(小学館文庫)
476円+税
*もう2年半前になりますが木村大作監督『剱岳 点の記』は名作だった。富山を舞台にした映画、最近増えてますが、『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』もその1作。全国公開にさきがけて先週土曜から富山で先行上映中です。僕はまだ見てませんが近日中に見る予定。本書、その映画のノベライズです。昔角川に「読んでから見るか、見てから読むか」ってキャッチコピーありましたが、映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』、僕はノベライズのほうを先に読んじゃいました。
JTB時刻表 2011年12月
 映画RAILWAYS公開記念 まるごと富山大特集

2011年12月1日発行
JTBパブリッシング
1095円+税
*この雑誌、サブタイトルにあるように、富山大特集。富山を全国にPRですもんね、すばらしい。富山県民も富山県出身者も郷土愛にあふれてて、こういう本が出るとつい買っちゃうでしょうね。高かったけど僕、買っちゃいました(照)。内容は、「食の宝庫富山でキトキトを食す」「富山ならではのご当地グルメ」「「四季折々の自然美を満喫!」「低床車の仕組みを探る」(高岡市の万葉線は2004年に富山で初めて低床車導入。その後、ポートラムもセントラムも低床車で)「富山ライトレール」(ちょっとややこしいですが、車両がポートラム、路線・会社がライトレールのようです)「RAILWAYS ロケ地を巡る」など。
by tiaokumura | 2011-11-22 20:13 | | Trackback | Comments(0)
井上純一『中国嫁日記』(エンターブレイン)

井上純一(いのうえ・じゅんいち1970-)
中国嫁日記
2011年9月27日第3刷(2011年8月24日初版)
エンターブレイン
950円+税

僕は職業柄、本書タイトルにある「中国嫁」にも年間15人くらいだろうか接する。ここで「中国嫁」は日本人男性と結婚(初婚・再婚)した中国人女性のこと。年齢では20代から上は40代くらいでしょうか。出身地はさまざまですが、どちらかと云うと東北3省(遼寧省・吉林省・黒竜江省)が多いかなあ。勤務先の富山国際学院で受ける代表的な相談事は、①日本語を勉強したい、②縁者(弟妹甥姪など)を日本に留学させたい、③連れ子のこと、になるでしょうか。一緒に日本人のご主人もお見えになることが多いが、こちらは40代が中心で中には僕と同じか年上世代も。60代70代日本人男性と20代30代中国人女性のカップルが見えたときなど、「奥村さん、羨ましいでしょ」とかスタッフに冷やかされることもあります(激爆)。
厚生労働省のデータによると、2010年の国際結婚(30207組)の夫―妻の組み合わせのランキングTOP10は、①日本―中国・台湾(10162組。以下同じ)、②日本―フィリピン(5212)、③日本―韓国・北朝鮮(3664)、④韓国・北朝鮮―日本(1982)、⑤アメリカ合衆国―日本(1329)、⑥日本―タイ(1096)、⑦中国・台湾―日本(910)、⑧イギリスー日本(316)、⑨ブラジルー日本(270)、⑩日本―ブラジル(247)のようです。僕が富山で接した中では、日本―ロシア、日本―ルーマニア、日本ーベトナム、オーストラリアー日本、パキスタンー日本、カメルーンー日本、ネパールー日本などもあるかなあ。

本書、「40才オタク夫×20代中国人嫁の4コマ漫画みたいな日常。」(帯より)。このブログは1日100人前後のご訪問者なんですが、本書のもとになったブログ(ブログは中国大陸では「博客」、台湾では「部落格」。ちなみにツイッターは「微博」、オタクは「宅男」)は「1日4万hitオーバー! 日本&中国で話題の人気Blog」(帯より)だそうですから、すっごいもんです。
井上純一(ユエ)とのお見合いについては、本書に描き下ろし長編「中年男と中国娘」が掲載(pp81-134)。月は遼寧省瀋陽(年配の日本人には「奉天」と云えばおわかりかも)で美容部員、月収3000元(現在のレートで4万2000日本円くらい)、仲村トオルと沢尻エリカのファン。月の四番目の姉が広東省広州(僕はトランジットで1回だけ行ったことがある。「食は広州に在り」でご存知の方もあるかも)で入院中に、二人のお見合いが実現する。井上の同居人「K水」によれば、井上の「ドオタクな件は・・・それこそが井上サンが中国人と結婚できる理由」(p87)。「中国の女性が夫に一番求めるのは誠実さ」で「嘘をつかない浮気をしない誠実さこそが最重要」(p88)。とは云え、月に会った井上は「こんなに若くてカワイイ女の子が・・・俺を好きになる!? どー考えてもないわ~」「この見合い絶対に失敗するな」と思う(p99)。 だが仲介の中さん(日本人。妻は中国人)の勧めで翌日デイトに。デイトの行く先は「超デカい最高級ホテル」の花園飯店(p118)。そして二人は・・・。

本書の類書に僕も読みましたが小栗左多里『ダーリンは外国人』。あのシリーズ、ずいぶん売れたみたいですね。映画化もされたかも。本書も発売1か月でもう3刷ですからベストセラーランキングに入ってることでしょうね。オタクと「80后」女性との組み合わせは確かに「濃い」感じで興味がそそられるのでしょうね。

アップした写真、本の下になっているのは朝日新聞2011年11月9日付6面の全面広告です。
ブログ「中国嫁日記」こちらです。
by tiaokumura | 2011-11-12 13:32 | | Trackback | Comments(0)
『寺山修司全歌集』(講談社学術文庫)

寺山修司(てらやま・しゅうじ1935-83)
寺山修司全歌集
2011年10月11日第2刷(2011年9月第1刷)
講談社(講談社学術文庫)
1100円+税

寺山修司が「学術」文庫に入るというのは、僕にはなんだか不思議な感じがする。本書カヴァー裏の広告「講談社学術文庫 既刊より『俳句と短歌を味わう』」には久松潜一や山本健吉や小西甚一や久曾神昇といった名があるのだから、僕の違和感もむべなるかなでしょうね。ただ、野間省一の「『講談社学術文庫』の刊行に当たって」(1976年6月)によれば、「学術は少年の心を養い、成年の心を満たす。」ということだから、寺山が「学術」であっても不思議はないのかもしれない。かつての異端・辺境・アングラ・サブカルが、時代の波間を漂い中央に躍り出たということでしょうか。あるいは、スキャンダラスで毀誉褒貶の多かった寺山修司も、没後30年近く経て落ち着くべきところに落ち着いたということでしょうか。
この間の横尾忠則展でふと思った。三島由紀夫・寺山修司・土方巽・澁澤龍彦は故人、横尾忠則・唐十郎・高倉健・藤純子・細江英公・麿赤児らは存命。同時代人が幽明境を異にすることの不条理・不可逆・不可思議。私もまもなく同時代を生きた皆さんと幽明境を異にするのでしょうね。

本書所収、1970年11月(寺山は34歳)の「」から引く。
歌のわかれをしたわけではないのだが、いつの間にか歌を書かなくなってしまった。だから、こうして「全歌集」という名で歌をまとめてしまうことは、私の中の歌ごころを生き埋めにしてしまうようなものである。・・・/思えば私の作歌は、・・・本質の方が存在に先行している畸型児だったような気がする。三十一の言葉の牢獄に、肉声のしたたりまでも封じこめてしまった暗い少年時代を、私は今なつかしく思い出している。/・・・いつも「私」を規定することにばかりこだわっていて、ついに裏返しの自己肯定の倣岸さを脱けることがなかった・・・(pp320-321)

「寺山修司、僕の好きな十五首選」は以下の通り。なお本書、「全歌集」ですが『月蝕書簡』は入っていません。
大工町寺町米町仏町老母買ふ町あらずやつばめよ(『田園に死す』恐山・少年時代)
村境の春や錆びたる捨て車輪ふるさとまとめて花いちもんめ(『田園に死す』犬神・寺山セツの伝記)
海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり(『初期歌篇』燃ゆる頬・森番)
かなかなの空の祖国のため死にし友継ぐべしやわれらの明日は(『初期歌篇』記憶する生)
一本の樫の木やさしそのなかに血は立ったまま眠れるものを(『初期歌篇』夏美の歌・十五才)
言い負けて風の又三郎たらん希いをもてり海青き日は(『空には本』チェホフ祭)
わが窓にかならず断崖さむく青し故郷喪失しつつ叫べず(『空には本』直角な空)
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや(『空には本』祖国喪失・壱)
麻薬中毒重婚浮浪不法所持サイコロ賭博われのブルース(『血と麦』砒素とブルース・弐 肉について)
ひとの不幸をむしろたのしむミイの音の鳴らぬハモニカ海辺に吹きて(『血と麦』蜥蜴の時代)
日傘さして岬に来たり妻となりし君と記憶の重ならぬまま(『血と麦』蜥蜴の時代)
北一輝その読みさしのページ閉じ十七歳の山河も閉ず(『血と麦』うつむく日本人・壱 他人の時)
髪刈ってボルシェヴィキの歌うたう或る日馬より蒼ざめていん(『血と麦』うつむく日本人・弐 小さい支那)
人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ(『テーブルの上の荒野』煮ゆるジャム)
とぶ翼ひろげしままに腐蝕せし銅版画の鷹よ・・・われの情事(『テーブルの上の荒野』罪)

アップした写真、文庫本の下になっている雑誌は、「時空旅人Vol.4 昭和怪物伝」です。この雑誌、本屋さんでたまたま見かけ買いました。6つのジャンルに分け、例えば「軍」であれば山本五十六・板垣征四郎・石原莞爾・宇垣一成を、「経済」であれば正力松太郎・瀬島龍三・中内功・井深大・安藤百福・松永安左エ門を選んでいる。僕は「昭和の子」なんでしょうね、「学問」の内藤多仲以外の30人、わかります。寺山は「文化」に岡本太郎・三島由紀夫・円谷英二・手塚治虫・黒澤明と並んで選抜。僕は知らなかったのですが、
死を前に、主治医にしたいことを聞かれ、「女学生をいっぱい裸にしてその上に寝たい」と答えたという。(p91)
ってエピソード。「女学生をいっぱい裸にしてその上に寝たい」って、僕なんかが言うと単なるスケベじじい^^ですが、これが寺山(当時47歳くらいか)となると「いかにも」ってエピソードに変貌するのでしょうね。

明日から入院。癌では3回目の入院になります。今回は、抗癌剤のシスプラチンの点滴注射が主目的。入院日数はそんなにないと思います。ここのところ向田邦子が読みたい気分で、文庫本の『父の詫び状』『隣の女』『男どき女どき』『思い出トランプ』を持参します。あと「図書」連載がまとまった中野三敏『和本のすすめ-江戸を読み解くために』(岩波新書)も。

(追記)
余計なお節介^^ですが、上掲の雑誌「昭和怪物伝」中の松岡洋右の没年、間違っています(p16)。正しくは「昭和21年(1946)」です。
by tiaokumura | 2011-11-03 15:17 | | Trackback | Comments(8)
山本作兵衛『画文集 炭鉱(ヤマ)に生きる 地の底の人生記録』(講談社)

山本作兵衛(やまもと・さくべえ1892-1984)
新装版『画文集 炭鉱(ヤマ)に生きる 地の底の人生記録』
2011年10月5日 新装版第6刷(1967年10月第1刷 2011年7月新装版第1刷)
講談社
1700円+税

僕たちが小中学生の頃(僕は昭和21年生まれだから昭和30年代とほぼ重なる)、教室の暖房は石炭だった。日直が決まってて教室の石炭ストーブ用の石炭を校庭にあった石炭置き場から補充してたように思う。石炭ストーブを囲んでだべったり弁当(小学校は給食で中学校は弁当だったように思うが記憶違いか)を温めたりしてた。あの石炭の産地はどこだったのだろう。『昭和25年版 中学校社会科地図帳 復刻版』(帝国書院)によると昭和23年日本の石炭産額は3398万トンで内訳は九州55%、北海道26%、東部10%、西部9%(p61)。北陸に炭田はなかったから、ひょっとして九州からの石炭だったのかもしれない。エネルギー革命の前、石炭が重要な基幹産業だった時代。
北陸の地で生まれ育った身としては、筑豊炭田について知るところは少ない。ボンヤリと思いつくのは、例えば五木寛之『青春の門』。最初の映画化では(1975年。監督・浦山桐郎)、牧織江を大竹しのぶ、伊吹信介を田中健、重蔵・仲代達矢、タエ・吉永小百合など。1981年版の映画の主題歌がシンガーソングライター山崎ハコの『織江の唄』。五木寛之は山崎ハコを高く評価してた。土門拳(どもん・けん1909-90)『筑豊のこどもたち』(1960)、『古寺巡礼』の前の写真集になる。大衆演劇の「嘉穂劇場」。椎名林檎が2000年にライブイベントを行っている。谷川雁(たにかわ・がん1932-95)、上野英信(うえの・えいしん1923-87)。これは若松になるが火野葦平(ひの・あしへい1907-60)の『花と竜』。僕は石原裕次郎の玉井金五郎、浅丘ルリ子のマンの日活映画(1962。監督・舛田利雄)を見ている。主題歌を石原裕次郎が歌っていた。それからこれも筑豊ではないが三井三池争議。僕は中学生だったが「総資本対総労働」を覚えている。闘争は労働側の敗北で終わり、やがて1963年には三井三池三川炭鉱炭塵爆発で多数の死者と多数の一酸化炭素中毒を出した。石炭産業は完全に斜陽化してたでしょうね、もう。
昭和30年代、わが家の暖房はこたつと火鉢でした。高校生頃には受験勉強時に足温器なんてのを使ってました。

皆さんはどうだったでしょう、僕は「山本作兵衛」も「世界記憶遺産」も全く知らなかった。新聞記事で初めて知った。UNESCOの世界記憶遺産(Memory of the World)の狙いはpreserving and digitizing humanity’s documentary heritageだそうです(Wikipedia)。山本作兵衛が没して7年後、「平成23(2011)年5月には589点の絵画や108点の日記・ノートなどがユネスコの認定する『世界記憶遺産』に日本国内から初めて登録された。」(本書「山本作兵衛略歴」より)。
本書、「Ⅰヤマの生活」「Ⅱヤマの米騒動」「Ⅲヤマの労働」で構成され、山本の画文がカラーまたは白黒で収録されている。
併せて、上野英信「序にかえて」・永末十四雄「解説」・金子光晴「鉱夫の歴史を伝える画文集」・石牟礼道子「作兵衛さんの絵」・菊畑茂久馬「不世出の千両役者に似て 暗闇つき抜けた清冽さ」・南伸坊「山本作兵衛さんのこと」、及び山本作兵衛「あとがき」。南伸坊と山本作兵衛の結びつきって「?」ですが、南は菊畑茂久馬が「1970年、わたしは東京の若い画学生たちと作兵衛さんの絵を大きな壁画にする作業に取り組んだ」(菊畑「不世出の千両役者~」p208)ときの画学生の一人になります。本書の装丁は南伸坊。
山本は明治32年の夏、「小学校2年生で、数え年の8つ」のときに炭鉱で働き始める(p94)。「朝は2時から3時に起きて入坑し、10時間も12時間も働く」(p95)。山本の職場「位登炭鉱」が閉山になったのは昭和30年。その後山本は夜警に。「絵を描きはじめたのは、33年5月ごろから](p117)、山本は還暦をとっくに過ぎていた。「昔のヤマの様子を描いて子孫の語り草に残しておくのもまた一興かと思い、脳裏に浮かぶまま、1枚また1枚と描き重ねました。」(p117)。
他人に見せようなどとは夢にも想像せず、また見せられるようなしろものでもありません。貧乏に生まれて知恵もなく、一生をようするに社会の場ふさぎとして過ごしてきた一人の老坑夫のまずしい記録にすぎません。したがって、ただひたすら正確にありのままを記すことのみを心掛け、それ以外のことは考える余裕もありませんでした。これから五十年、あるいは百年の後、孫やその孫たちが、こんなみじめな生活もあったのか、と心から思えるような社会であってほしい。それだけがせめてもの願いであります。(p119)

本書、貴重な出版物であることは確かであるが、もっと大きいサイズで全てカラーで見てみたい。世界記憶遺産の狙いがデジタル化でもあるのだから、山本の作品がデジタル化されて世界中で閲覧できるようになったら、山本作兵衛さんの画文に込めた想いが地球規模で末永く伝わることでしょうね。

(注)
本記事はWikipedia日本語版・英語版を参考にしました。
by tiaokumura | 2011-10-20 19:44 | | Trackback | Comments(2)
加藤嘉一『われ日本海の橋とならん』(ダイヤモンド社)

加藤嘉一(かとう・よしかず1984-)
われ日本海の橋とならん 内から見た中国、外から見た日本-そして世界
2011年9月20日第4刷(2011年7月22日第1刷)
1500円+税
ダイヤモンド社

加藤嘉一は1984年静岡県生まれ。高校卒業後北京大学に留学。2005年4月、「反日デモの現場を見た北京大学生、特に反日デモの動きに関心を持っている学生のコメントがほしい」という香港テレビ局の情報を韓国人留学生から知らされ、香港フェニックステレビ(鳳凰衛視)の『全球連線』に出演。それがきっかけで「加藤現象」を起こす。ブログは500万アクセスを突破、ツイッターのフォロワーは約65万人、年間300以上の取材を受け、200本以上のコラムを書く。加藤は「僕と胡錦濤主席は個人的に『交流』を持」ち「中国共産党の『指導部』と個人的にコンタクトをとることができる」(p89)。現職は、英フィナンシャルタイムズ中国語版コラムニスト、北京大学研究員、慶應義塾大学SFC研究所上席所員、香港フェニックステレビコメンテーター。加藤のオフィシャルサイトはhttp://katoyoshikazu.com/。(以上、本書「はじめに」「略歴」他より)
本書は、第1章「中国をめぐる7つの疑問」・第2章「僕が中国を選んだ理由」・第3章「日中関係をよくするために知ってほしいこと」・第4章「中国の民意はクラウドと公園にある」、そして東日本大震災後の日本・日本人への提言になる第5章「ポスト『2011』時代の日本人へ」の全5章構成。
本書タイトルは新渡戸稲造(にとべ・いなぞう1862-1933)の「願わくは、われ太平洋の橋とならん」を踏まえている。「僕の願いは、日本と中国に新しい風を送り届けること。すなわち『日本海の橋』となることである。ひとりでも多くの日本人に、この橋を渡っていただけたら本望である。」(「はじめに」p9)。
余計なことですが、著者の顔写真を見ていると中国人みたい。留学経験のない僕の勝手な論ですが、留学先によって顔つき(時には体型も)が違ってくるのじゃないかと思う。衣食住とか風土の影響が出るんじゃないでしょうか。

僕は仕事柄(日本語教師です、今は病気でほとんど休職状態ですが)、外国人と接する機会が多い。それは学生だったり学生予備軍だったりビジネスパートナーだったりさまざまだが、中国人が7割以上になるでしょうね。そんな僕は、加藤の分析にも「そうだ、そうだ」と納得共感する箇所が多い。「暇人」との交流から彼は「中国式の個人主義、無関心」を抉り出す(pp144-145)。あるいは「面子」について。
たとえ暇人であろうと、あるいは農民工であろうと、彼らには面子がある。見下されること、バカにされること、恥をかかされることをいちばん嫌う。中国に進出する日本人ビジネスマンはここがわからず、信頼関係の構築に失敗するのだ。(p148)
面子を重んじる中国社会では、みんなの前では褒めて(面子を立てて)あげて、ミスについては2人きりの空間で叱るのがベストなのである。(p152)
北京大学の超エリートたちの勉強漬けの日々」(pp68-72)はすさまじい。そんな自らの体験を通じ、東日本大震災後の日本を考え、加藤は「すべての大学生に2年間の猶予を」という提言をなす。「老人介護施設へのインターンシップ、そして翌年の海外留学は一考に価する提案ではないだろうか。」(p177)。
出口の見えないデフレ不況。萎縮、孤立、漂流。ジャパン・パッシング。財政崩壊。少子高齢化。無政治状態。そして言い知れない閉塞感。」(p186)。加藤は若者に訴える、「僕たち若者が立ち上がらなくてどうする。僕たち自身の未来なんだぞ。お国を変えていくのは僕たちなんだ。自覚を持とう。すべてはここから始まる。」(p189)、「若者よ、大局を視ろ!/若者よ、大志を抱け!/若者よ、大地を行け!/気合だ!/何度でも言わせてもらう。/僕らの武器は気合、気合、そして気合なんだ!/流した汗は、決して嘘をつかない。」(p190)

本書第1刷が7月で9月に第4刷。僕は朝日新聞の書評で知った本なのですが、よく売れているのでしょうね。加藤嘉一はロールモデルたる人物でしょうね。本書が多くの若者たちに読まれることを期待したい。
by tiaokumura | 2011-10-02 10:26 | | Trackback | Comments(6)
深町英夫編訳『孫文革命文集』(岩波文庫)

深町英夫(ふかまち・ひでお1966-。中央大学経済学部教授)編訳
『孫文革命文集』
2011年9月16日第1刷
岩波書店(岩波文庫)
1140円+税

孫文(号は中山、逸仙。孫中山・孙中山・Sūn Zhōngshān、Sun Yat-sen1866-1925)についての僕の知識は中学歴史教科書程度でしょうね(恥)。民族・民権・民生の三民主義、1911年辛亥革命-この二つで高校受験は間に合うでしょうね(激爆)。孫文でもう一つ-僕は中国出張、これまで数回経験しているのですが、だいたいどこの都市にも中山広場があります。瀋陽では遼寧賓館(旧奉天大和ホテル)が中山広場に面していた。
そんな程度の僕だが昨年夏の神戸旅行で孫文記念館(移情閣)を訪れることができた。その時のブログ記事から一部補訂して以下に転載。オリジナル記事はこちら

8月21日、三ノ宮から舞子へ。舞子公園で舞子海上プロムナードに寄ったあと、孫文記念館(移情閣)に入る。孫文って、今現在も大陸本土・台湾の両方で尊敬されている偉人。20世紀を代表する人物の一人でしょうね。孫文の頃の日本人も偉かった。今朝(2010年8月25日)の朝日新聞に「孫文支えた日本人秘話」という見出しで、上海で開催中の「孫文と梅屋庄吉展」が紹介されてましたね。舞子の孫文記念館でももちろん梅屋庄吉(うめや・しょうきち1869-1934)が出ています。1920年代30年代、いつから日本は日本人は変節していったんでしょうね。軍部・財閥・右翼が天皇・政治家・知識人・文化人を誘導したってことになるのでしょうが、抵抗しきれなかった天皇・政治家・知識人・文化人の側の罪も重い。おそらく「支那」が蔑称となっていく過程と軌を一にするのでしょうね、「変節」は。移情閣は孫文支援者の神戸華僑・呉錦堂(1855-1926)の「松海別荘」が前身。

本書は1893年の「広州興中会宗旨」(韃虜を駆除し、華夏を回復する)から1925年3月11日の孫文永眠前日の談話「国民会議を実施して三民主義と五権憲法を実現せよ」まで、「孫文の主要著作や革命党の章程のような基本文献だけでなく、あまり通常の著作集には収められることのない、書簡・演説・談話・命令等」(深町英夫「解説」p457)を、「第一部 民族共和国への道程(1893-1912年)」「第二部 中央政権への挑戦(1913-1921年)」「第三部 革命運動の再構築(1923-1925年)」に分けて収める。他に文献目録・解説・索引。
1924年11月28日の兵庫県立神戸高等女学校での名演説が「大アジア主義-神戸高等女学校での演説」(pp428-447)。ここで孫文はヨーロッパの「武力で他者を圧迫する覇道の文化」に対峙する形でアジアの「仁義・道徳を用いる王道の文化」を唱える(p437)。
覇道の文化と王道の文化を比べれば、結局のところどちらが正義と人道に有益で、どちらが民族と国家に有利なのか、諸君は自ら証明することができます。(p438)
この後孫文は、僕は全く知らなかったのですが、当時のネパールと中国・イギリスの関係について触れています(pp440-441)。演説の最後に孫文は日本・日本人に訴える。
あなたがた日本民族は、欧米の覇道文化を取り入れた上に、アジアの王道文化の本質をも持っていますが、今後は世界文化の前途に対して、結局のところ西方覇道の手先となるのか、それとも東方王道の防壁となるのか、それはあなたがた日本国民の、詳細な検討と慎重な選択に懸かっているのです。(p446)
ただし、深町の注によると、この部分は「講演の際に語られたものではなく、神戸から天津へ向かう船が門司へ到着した頃に、船上で加筆された可能性が高い」(p447)とのことです。孫文の訴えも虚しく、「欧米の覇道文化を取り入れた上に、アジアの王道文化の本質をも持って」いる日本は「西方覇道の手先」になってしまった。

アップした写真で本書の下になっているのは朝日新聞2011年9月24日付「beランキング 会ってみたい『革命家』」。朝日新聞の会員サービス利用者が対象のアンケートで「20世紀に活躍した主な革命家約60人の中から回答者1人につき3人まで選んでもらった」そうです。トップ5は、順にガンジー・ゲバラ・孫文・マンデラ・毛沢東です。幸徳秋水(10位)・樺美智子(12位)・北一輝(14位)・大杉栄(15位)・トロツキー(17位)・ローザ・ルクセンブルク(18位)や、21位以下で重信房子・永田洋子・山本義隆といった名も。
by tiaokumura | 2011-09-25 12:24 | | Trackback | Comments(0)
『花森安治戯文集Ⅰ』(LLPブックエンド)

花森安治(はなもり・やすじ1911-78)
花森安治戯文集Ⅰ
2011年6月30日初版第1刷
LLPブックエンド
2500円+税

本書、半分強を『逆立ちの世の中』(元本は昭和29年・河出書房刊)が占め、後半部には「ほか コラム・エッセイ」「対談+インタビュー」が収められる。「あとがき」は花森の一人娘の土井藍生、「解説」は津野海太郎。本書の「装画・さし絵」は見ただけでそれとわかる花森作品。
本書『逆立ちの世の中』の「高価なものと美しいものと」(pp81-103)から。戦争初期のこと、親類縁者の集まりで「子供は子供同士、一部屋に追いやられ」て「どの子からともなく、お互いに持っているハンドバッグの品定めがはじまった」(p81)。そして、高価なブランドバッグではなく、何とかちゃんの母親の手製の紅いバッグが一番いいということになった。この例を通じて花森は言う、「お金を上手に使うことの第一歩は、正札と、そのもののほんとうの値打との違いを、はっきり知ることではないだろうか。」(p84)。このエッセイ(戯文)ではさらに「板目と柾目」「木綿と人絹」「ととやの茶碗」「おかず」「ズックの靴」などを例に次のように説く。
お金を上手に使うというのは、たのしく暮すための技術である。上手に使ったつもりなのに、かえってたのしくないとしたら、それはほんとうに上手な使い方ではあるまい、きちんと整理された家計簿であればあるほど、その費目の一つに「むだづかい」という項目を入れるべきだと思う。いくらいそがしいからといって、まさか、十日も一月も眠らないですませようというひとはないだろう。働くためには、ムダにみえる「寝る」ということが実は必要なのである。老子だかの言葉に、「無用の用」というのがあるが、つまりはそれである。目の先の合理的にとらわれて、「無用の用」をわすれると、結局は大きい意味で、非常な不合理をしていることになってしまう。(p100)

暮しの手帖」関係でアップした写真、本書の上の3冊は
おそうざいふう外国料理 暮しの手帖版(昭和49年10月第5刷)
暮しの手帖96 特集 戦争中の暮しの記録(昭和43年8月発行)
暮しの手帖300号記念特別号 美しい暮しの手帖(平成14年12月発行)
です。
①の中の洋風おかずは村上信夫(帝国ホテル)が協力している。本書の作り方にも「暮しの手帖」ならではが見受けられる。料理本番の撮影をし、レシピを書く-ここまでは当たり前の作り方でしょうね。
次の仕事は、出来上がった写真に、作り方の原稿をそえて、それを入社したばかりの、お料理の作りなれない人に、試作をしてもらいます。/原稿と写真だけを渡し、一切注意もなにもいたしません。その人は、材料を買うことからはじめて、写真を見たり、原稿をよんだりして、その通りに作ってゆきます。(暮しの手帖編集部「あとがき」p280)
その結果を踏まえて、文章や写真を再考し「やっと、一つの料理記事が完成いたします。」(p280)。
②では富山大空襲も出てきます。高岡市の柿谷実子「無理に疎開させた子が疎開先で爆死」(pp140-141)。柿谷は当時21歳で「昭和20年、国民学校6年生の女子組を担任していた」。昭和20年7月31日、クラスの金戸恵子が「先生、富山のお里へ行きます」と知らせに来る。そして8月1日の夜、「富山は爆撃を受けたのである。/金戸恵子は死んだ。母の実家の両親と母と弟と本人との5人が、防空壕の中で死んだのである。その夜、山越しに爆発音が地ひびきを立て、富山の空を真赤に焦しているのを、20キロあまりはなれた高岡の町で私は見ていた。」。当時の「東海軍管区司令部発表(昭和20年8月2日14時)」(p212)には「本空襲ニヨリ富山市各所ニ火災ヲ生ジタルモ払暁迄ニ概ネ鎮火セリ」とある。
②について『花森安治戯文集Ⅰ』所収のインタビュー「二十二年目の”戦争体験”」(pp310-313)で花森は語る。
これほどたくさんの無名の人が一つの体験について書いたものを、一冊にまとめたのは、万葉集の巻十九の防人の部以後ないのです。万葉から、千数百年たってやっとみのったのがこの本です。しかしそのテーマが、前と同じように戦争体験であることに、かなしいものを感じますが・・・(新潟日報1966年8月12日)
③は花森没後の刊。「三章 時代を象徴するあの記事、このテーマ」の「その1 温故知新、エッセイから伝わる暮らしの真髄」には、川端康成・坂口安吾・石井好子・浅沼稲次郎・東久邇成子・吉川英治・三島由紀夫・緒方竹虎・田中角栄・坂本九ら。「二章 アンケート特集『暮しの手帖』は日本人の生き方をこう変えた」では増田明美・安野光雅・石井好子・むのたけじ・有吉玉青・山田洋次・大宅映子・安部譲二・土井たか子・久田惠・池内紀・サトウサンペイ・下重暁子・常盤新平・松本幸四郎・桐島洋子ら。

これは あなたの手帖です/いろいろのことが ここには書きつけてある/この中の どれか 一つ二つは/すぐ今日 あなたの暮しに役立ち/せめて どれか もう一つ二つは/すぐには役に立たないように見えても/やがて こころの底ふかく沈んで/いつか あなたの暮し方を変えてしまう/そんなふうな/これは あなたの手帖です
花森安治

「天才的な編集者であると同時に、戦後日本を代表する思想家のひとり」(津野海太郎「解説」p332)。本書はその花森安治の「生誕100年記念出版」で(花森は辛亥革命の年に神戸に生れたんですね)、全3冊で刊行(2は8月、3は10月)とのことです。
by tiaokumura | 2011-09-24 15:30 | | Trackback | Comments(0)