楊逸さん、「時が滲む朝」で第139回芥川賞受賞

f0030155_86363.jpg
(7月21日午後・記)
以下、朝日新聞7月17日付の記事より引用。
第139回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に中国人の楊(ヤン)逸(イー)(本名劉チュウ)さん(44)の「時が滲(にじ)む朝」(「文学界」6月号)が選ばれた。楊さんは22歳で来日してから日本語を学んでおり、日本語を母語としない外国人の受賞は、芥川賞73年の歴史で初めて。
奥村注:本名の「劉チュウ」の「チュウ」はクサカンムリ、下左に「収」の左部分、下右に「枚」の右部分。元の字が僕のPCの手書き入力パッドでは出ないので悪しからず。


楊逸さん、芥川賞受賞おめでとうございます!
楊逸(1964-)についてはこのブログ、2008年2月10日でも取り上げています。ご興味がおありでしたらこちらにアクセスを。
彼女の作品は「ワンちゃん」「老処女」を読みましたが、今回の「時が滲む朝」は彼女の3作目。早く読みたいと思って何軒か本屋さんを回ったのですがどこも売り切れで、7月21日現在僕は未入手。15万部は行きそうな感じですね。いや、もっとかも。
朝日の記事に拠ると、
「すごい感激しております。中国人だからというのではなく、作品が評価されたことをうれしく思っています」
との楊逸の受賞の弁。「すごい感激」って言い方気になりますが^^、「中国人だからというのではなく、作品が評価された」とあるように僕も早く読みたい作品です。でも、なんせまだ読めていません(泣)。7月20日の朝日の読書欄で鴻巣友季子という翻訳家が書いている書評の中から、あらすじ部分を以下引用。
農村に下放された知識人の父を持つ主人公は、大学に合格後は学問に燃え、国を変える大志を抱く。時にテレサ・テンの歌に心奪われ、シェリーの詩を湖畔で諳(そら)んじ、やがて民主化運動に参加して天安門広場へ。しかし民主化を叫ぶ大学生と、日々の生計が先決という労働者は衝突し、主人公らは退学になる。友の裏切りや日和見、苦い挫折・・・。それは、のちに彼が残留孤児一家の女性と結婚し、来日してからも、香港返還や北京五輪開催に反対しては、味わうものだった。

日本語非母語話者が芥川賞の候補になった例は、前回の楊逸が最初ではなくリービ英雄(1950-)らがいる。リ-ビは第115回(平成8年上半期)。日野啓三・田久保英夫・大庭みな子は評価し、石原慎太郎・池澤夏樹・宮本輝は低い評価。結局この回は川上弘美が「蛇を踏む」で受賞。リービの作品名が「天安門」だったのは、楊逸の今回の受賞作を思うと不思議な因縁を感じる。
中国のメディア、楊逸の芥川賞受賞、どうやら積極的に報道してないようです。いや「無視」かなぁ。「中国」にとっても快挙にして名誉なことなんにね。何と言っても「天安門事件」はあの国ではタブーで、この報道姿勢しょうがないことなんでしょうが残念です。でも、インターネットや在日華人を通じて大陸にもこのニュースは伝わっていることでしょう。
越境文学」って括りになるのでしょうが、楊逸さんの作品が更に広くファンを増やし、やがては中国語に翻訳されてかの国でも読まれる日が来るのを期待しています。

来週くらいには「時の滲む朝」を入手できそうなので、読み終わったら感想などこのブログに載せます。

日本人で外国語で小説を発表している例ではドイツ語の多和田葉子(1960-)がいる。世界各地の華人がやがて英語・フランス語・韓国語・イタリア語・ロシア語・ポルトガル語などで小説を発信し、それぞれの国の文学の発展に貢献するとすばらしいでしょうね。そうなることで夜郎自大な国と思われがちなかの国にもいい影響を与えられそうな気が僕にはするのですが、どうなんだろう。
[PR]
by tiaokumura | 2008-07-17 08:06 | | Comments(0)


<< 今夏初めての西瓜 名古屋出張 >>