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楽しみな2つの展覧会

有事に国民を守るべき自衛艦が平時に漁師2名の命を奪い去った。海の航海ルールを守らなかったイージス艦には、最新設備を備えていることの気の緩み・「そこのけそこのけ」と言う民間軽視があったのだろう。情報を小出しにする体質も非難されるべきであろう。シビリアンコントロール以前の問題である。防衛「省」に「昇格」したことによる傲慢さはなかったのだろうか。
自衛隊について考えるとき思い出されるのは三島由紀夫である。ロス疑惑を遡ること約15年になろうか、1970年11月25日、三島は自らが組織した「楯の会」の森田必勝らを率い、自衛隊市ヶ谷駐屯地に赴き、益田・東部方面総監(当時)を人質にして総監室に立て籠もる。バルコニーに出た三島は自衛隊員たちにアジ演説を行うも、それに呼応して決起する自衛官は一人としておらず。たぶんそうなることは覚悟の上だったのだろう、部屋に戻った彼は割腹自殺(『広辞苑 第六版』では「自裁」となっている)。享年45歳。僕は「三島ならこういうこともあるんだろうな」とか「なんたるアナクロニズム!ドンキホーテかいな」とか思った。老いることへの恐怖・どうしようもない天皇/天皇制への絶望もあったのだろうが、三島美学に殉じた自己完結だったと言えるのではないだろうか。
あれから40年近くの歳月、毀誉褒貶さまざまな三島である。あの時、市ヶ谷で20歳前後だった若き自衛官も定年前後なのでしょうか。
このたび富山市在住の杉田欣次さん(61)が、同氏の三島コレクションを公開するための個人文学館「隠し文学館 花ざかりの森」を開館。ピンと来る方も多いでしょうが「花ざかりの森」は、昭和19(1944)年に学習院高等科の卒業式で昭和天皇より恩賜の銀時計を拝受した平岡公威が、同年に「この世の形見」として刊行した小説の題である。
杉田氏は、(以下、朝日新聞2月28日付より引用)
三島が自殺する直前、「この人は死ぬかもしれない」と思い、それを止めようと三島あてに原稿用紙約30枚の手紙を書いた。送らずじまいになったその手紙が、杉田さんにとってはじめての「作品」だ。
杉田氏の三島コレクションは、三島の直筆原稿、書籍、映画化された作品のポスターなどだそうである。3年前、映画『春の雪』(行定勲監督。妻夫木聡、竹内結子ら)が公開されたが、僕は先年オリジナルフィルムが見つかった『憂国』(1966年ATG系。三島が監督。三島は「武山信二中尉」役も。共演・鶴岡淑子)が見てみたい。リアルタイムで見ているのだが、全編無言劇のような作品だったように記憶する。
「隠し文学館 花ざかりの森」開館記念
「よみがえる三島由紀夫」展
会場 隠し文学館 花ざかりの森(富山市向新庄町2の4の65)
期間 ~3月23日
開館時間 午前10時~午後5時
観覧料 一般500円、高・大学生300円、小・中学生200円

もう一つの展覧会は
「戦後美術の断片」展
富山県立近代美術館
期間 ~3月30日
入場料 一般500円、大学生400円、高校生以下無料
内容について、北日本新聞より引用すると
昭和30-40年代の美術をクローズアップする(中略)。同美術館のコレクションから絵画や立体、ポスターなどを年代ごとに展示。当時の家電や新聞なども並べ、高度経済成長期の息吹を感じ取ることができる。
岡本太郎の壁画「明日の神話」の下図、亀倉雄策のポスター「東京オリンピック」などが展示され、会場には「4畳半」の特設コーナーも設けられているそうです。西岸良平(1947-)のマンガの映画化『Always三丁目の夕日』(僕は観ていません)が人気沸騰だとか。「昭和30年代ブーム」なんでしょうかねぇ。
この展覧会、関連イベントも多彩。例えば、
8日 講演会「私の昭和の断片」(山下富雄県立近代美術館前館長)
16日・22日 「シネ・ダンス【映像舞踏】土方巽暗黒舞踏-あんま+バラ色ダンス」
などがあります。
昭和に流行したおもちゃの販売もあるそうです^^。
by tiaokumura | 2008-03-02 20:39 | 美術 | Comments(2)
Commented by かねごん at 2008-03-02 21:58 x
 三島由紀夫は45歳だったんですね。私は小学生でしたが、今でも鮮明に覚えています。彼の作品は高校時代から読み始めましたが、金閣寺が印象として一番残っています。
 息子の小学校と市ヶ谷小学校が長い交流がり、市ヶ谷には何度も行きました。そのたびに三島由紀夫の事件を思い出していました。
 とっくに自分の年齢が、彼の年齢を超えてしまっていたことに驚きです。
自分の文才のなさと、未熟さを痛感します。
Commented by tiaokumura at 2008-03-16 19:28
かねごん様、コメントありがとうございます。
三島の年齢を超えてもそんなに気にしないでいいと思います。僕なんて、賢治や太宰、三島、梶井・・・漱石はもちろん鴎外だって超えちゃってます(激爆)。村上春樹なんて永久に僕の年下ですもんね(大汗)。
生きてることが大切だと思っています。永遠に未熟なままであってもいいのではないかと・・・開き直り、かもしれませんね。


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