3月末退官される
藤本幸夫教授の最終講義を拝聴してきた。
藤本先生は
富山大学人文学部教授。僕は、先生のお顔も存じ上げず一度も授業を受けたことが無いいわば「無縁の衆」になるのだが、先生のご高名はかねがね聞いていたので、この機会を利用させていただいた。
人文学部第6講義室、15時~16時30分。
生い立ちから始められ、これまでの学究生活を振り返られる。
先生は1941年京都のお生まれ。お父上は国鉄機関士。幼少時は講談・浪花節などがお好きだったそうだ。60年安保の年に
京都大学にご入学。当初中文志望が後に言語学になり、
泉井久之助・西田龍雄などに学ばれる。卒論はツングース語関連。67年、博士課程を休学され
ソウル大学に留学。78年から
富山大学人文学部にご勤務、勤続29年。
朝鮮語学・朝鮮書誌学がご専門。最終講義は、僕などは初めて聞く
朝鮮出版文化史が中心だったが、素人の僕にもわかりやすく興味深い内容だった。
研究生活の集大成ともいうべき『
日本現存朝鮮本研究(集部)』を京都大学学術出版会より昨年刊行。「四庫」の「集」にあたるので、この後「経・史・子」も刊行されるのだろう。
僕にとっては最初で最後の藤本先生の講義。研究費の捻出・日韓交流の壁などご苦労も多かった学究生活だと思うが、そのあたり、さらりと流された。また、良質の学者が持つ巧まざるユーモアに何度も講義室に笑い。
最終講義受講者の中で、僕はどちらかと言えば「
よそ者」になるのだが、1時間半、先生のご講義を堪能させていただいた。先生は4月からは
麗澤大学に。
藤本幸夫先生
先生には何のご縁も無い若輩者ですが、
これまでの先生の業績の数々に深い敬意を表するとともに、
今後ますますのご研究生活をご祈念申し上げます。
本日はありがとうございました。