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クロード・ルルーシュ監督『愛と哀しみのボレロ』

クロード・ルルーシュ監督『愛と哀しみのボレロ』_f0030155_945240.jpg(3月27日午後・記)
僕が好きな映画トップ20の第1位は『気狂いピエロ』で決定なのだが、クロード・ルルーシュ監督『男と女』(1966年。原題Un homme et une femme)もランクインするだろう。フランシス・レイの音楽もスキャット入りの主題歌もいいが、レーサーの夫の死を知る場面や、寄宿舎に子どもを迎えに行って出会う男と女(ジャン・ルイとアンヌ)や、砂浜での再婚者同士になりそうな子連れの場面も、印象深い。そして何よりもアンヌ(アヌーク・エーメ)とジャン・ルイ(ジャン=トランテニャン)のSEX場面で、たぶん亡夫を思い出してだろう、アンヌが営みを中断する場面は、半世紀ほど前に初めて観たのだが、今でも鮮明に覚えている。SEXっていったん始まったら男の射精まで続くものだと思っていた、あの頃。男の身勝手なそれが女性を傷つけることもあるかもしれない、ってことを、あの時初めて知った。

愛と哀しみのボレロ』(原題Les Uns et Les Autres)
1981年 フランス 185分 フランス語・英語・ドイツ語・ロシア語
愛よ、響け、愛よ、踊れ!
フランス映画界が総力をあげて贈る 大河メロドラマの最高傑作。映画史上に残る伝説の”ボレロ”が、今よみがえる!
製作・監督・脚本:クロード・ルルーシュ(Claude Barruck Lelouch1937-。『男と女』『パリのめぐり逢い』『白い恋人たち』など)
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:ミシェル・ルグラン フランシス・レイ
振付:モーリス・ベジャール
出演:
ジョルジュ・ドン ダニエル・オルブリフスキ ロベール・オッセン ジェラルディン・チャップリン 他

モスクワ、バレエのプリマドンナを選ぶ場面で始まる。敗れて傷心の内に帰るタチアナに、選考委員の一人のボリス・イトイッチが近づく。場面転換し、パリ、ベルリン、ニューヨークと。本映画のモデルは、ルドルフ・ヌレエフ(バレエ)、エディット・ピアフ(シャンソン歌手)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮者)、グレン・ミラー(楽団)だそうです。カラヤン、ニューヨークデビューってああだったんでしょうか(ナチスとの関連でコンサートがボイコットされる)。グレン・ミラーはかつて伝記映画観ました。チャップリンの娘がグレンの娘役サラを演じてます。
モスクワ・パリ・ベルリン・ニューヨークの4つの家族はそれぞれに第2次世界大戦を経験し、やがて、ラスト15分のボレロのシーンで、セルゲイ(バレエダンサー。ボリスとタチアナの息子)、ダビット(弁護士。シモンとアンヌの息子。収容所に向かう列車で両親により線路に遺棄される。母と再会するが母には彼の記憶がなかった)、パトリック(歌手。ダビッドの息子)、エディット(TVリポーター。カールとエブリーヌの間の私生児。エブリーヌは「ドイツ兵と寝た女」として戦後糾弾され自殺する)、カール・クレーマー(指揮者)、サラ(歌手。ジャック・グレンとスーザンの娘)らが、一堂に会する(ただし会場に点在する)。普通の映画の1.5倍ほどある長尺な本映画の収斂場面。ルルーシュはこのシーンの為にこの映画、作ったのかも。
セルゲイ(ジョルジュ・ドン)のボレロが有名ですが、僕はこの映画、初めて観ました。デジタル・リマスター版。
映画邦題って、『太陽がいっぱい』『俺たちに明日はない』など名訳が多いですが、この映画もフランス語原題の無機質さ^^とは打って変わって、オシャレ。でもキャッチコピーの「大河メロドラマの最高傑作」ってどうなんだろう。

「AとBのC」って「Aが好きなB」と同じように両様の解釈ができますが、この映画、「(愛と哀しみの)ボレロ」でしょうね。
話は変わりますが、こないだBSで放映された『愛と誠』で、安藤サクラがスケバンの若頭みたいな役、やってました。「A&B」で思い出した^^。
by tiaokumura | 2016-03-26 09:45 | 映画 | Comments(0)


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