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山下耕作監督『緋牡丹博徒』(東映)

山下耕作監督『緋牡丹博徒』(東映)_f0030155_18565299.jpg東映任侠映画傑作DVDコレクション
2 緋牡丹博徒

2015年2月17日発行
DeAGOSTINI
1850円+税

藤純子はこれがデビューではないが、僕なんかにはそれまでの藤純子が出た映画(鶴田浩二や高倉健と共演)の印象は薄い。東映のプロデユーサの俊藤浩滋の娘だから「親の七光り」なんて誹りも受けただろうけど、それを上回る才能が、マキノ雅弘に発掘され、岡田茂や、とりわけ山下耕作によって開花されたんでしょうね。彼女の啖呵-
拙ことは肥後熊本にござんす 熊本は五木の生まれ 姓名の儀は矢野竜子 通り名を緋牡丹のお竜と発します
任侠映画に限らず東映映画に「ヒロイン」はそれまでにほとんどいなかった(と思う)。それがこのシリーズで鮮烈なヒロインの登場。様式美に彩られた立居振舞、凛とした口上、流れるような立ち回り、ときおり魅せる女の情愛-僕たち観客を夢中にさせた。
岡田茂は石原裕次郎『花と龍』を観て「これだ!任侠物だ!これこそ、むしろうちが得意とするものじゃないか」(本書p10)と閃いたそうです。これ、隠れたエピソード(任侠映画誕生の)でしょうね。僕、リアルタイムで裕次郎のその映画観ています。浅丘ルリ子が女房役だったと思う。「雲はゆうゆう空を飛ぶ」って歌詞の主題歌だったと思う(裕次郎が歌う)。洞海湾が舞台、火野葦平『花と龍』が原作です。
藤は学年が僕の1コ上です。後に四代目尾上菊之助(三之助の一人で人気があった。現・七代目尾上菊五郎)と結婚(そのことも衝撃的だった。歌舞伎と映画の結びつき。「河原乞食」なんて両方差別されてた時代、あったでしょうね)。夫婦の長女は寺島しのぶ、五代目尾上菊之助が長男。今は「富司純子」です。
娘盛りを渡世にかけて 張った体に緋牡丹燃える 女の女の女の意気地 旅の夜空に恋も散る(渡辺岳夫 作詞・作曲)
YouTubeにこの歌はいくつかはあるんですが、どうも藤純子が歌っているんではないような気がするのでここにアップしません。藤は決して歌はうまくなかったが、そんなことはどうでもいいくらいに素敵な節回しであった。

山下耕作監督『緋牡丹博徒』
1968年9月14日公開 98分 東映
企画:俊藤浩滋 日下部五朗 佐藤雅夫
脚本:鈴木則文
キャスト 藤純子(緋牡丹のお竜) 高倉健(片桐直治) 大木実(加倉井剛蔵) 若山富三郎 清川虹子 山本麟一 他

東映任侠映画傑作DVDコレクション、第3号は『昭和残侠伝』です。
by tiaokumura | 2015-01-24 18:56 | 映画 | Comments(0)


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