(11月22日午前・記)
マリ・クリスティーヌは僕らの青春時代のアイドルの一人だったか。僕はラジオ番組で彼女を聞いたような気がする。遠い昔のことゆえ(照)記憶違いもあるかもしれぬが、アグネス・チャンやロザンナ(「ヒデとロザンナ」)なんて括りだったような気がするが・・・。富山大学附属図書館には「
ヘルン文庫」があり、その関係でなんでしょうね、クリスティーヌは現在「富山大学客員教授」職。僕は初めてなんですが「
高志の国文学館」の「文学講座(ゆかりの文学者シリーズ)」後期第2回が
Hearnの五高時代の講義ノート発見という講座で、おもしろそうなので申込み、
11月16日(日)の午後、受講してきた。
クリスティーヌは異文化コミュニケーションの観点から
小泉八雲を研究しているとのことです。自らの生い立ちから話を始める。父はイタリア系アメリカ人、母は日本人。ドイツ、アメリカ、イラン、タイ、日本で育つ。父が『菊と刀』『WE JAPANESE(箱根富士屋ホテルの冊子)』や八雲を買ってくれた。ベースボールマガジン社の池田恒雄のことも。続いて、富山大学の「ヘルン文庫」の経緯を、南日恒太郎・田部重治や馬場はるに触れながら話す。馬場はるさんってほんとすばらしい方だった。
「ヘルン文庫」が松江ではなくてなぜ「富山」か、僕は謎だったんですが(僕だけが知らんかっただけかも^^)、小泉節子は松江にはいい思い出がなかった、唐人お吉扱いだったそうです。それで松江じゃなかった。人生っていろいろなんでしょうか。
この間、地元紙の北日本新聞に「八雲の講義ノート発見」って記事があり、今回のこの講演もてっきりそれかと思ってたのですが、違ってた。「ノート」はこれまでのところ3冊あるみたい。で、
友枝高彦のノートが今回の「
Hearnの五高時代の講義ノート」。北日本新聞の記事は黒坂勝美のノートです。3冊のもう1冊は松江小学校のもの。友枝は東京文理大の倫理・英語教師を経て、後に都留文科大創設。教育者としてすばらしい方だったようです。で、ノート発見のことですが。戦時中に、ハーン関連を含む語学関係出版社(名前、失念)の蔵書・資料が黒部の大地主の蔵に疎開されてた。ここからは僕の聞き間違いかもしれませんが、2008年にクリスティーヌが黒部の蔵書をチェックする中でノートを発見した。
日本語教師としてはハーンの外国語教授法が興味深いんですが、講演ではそのこのところは簡単にしか触れられなかった。八雲の英語はシンプルでエレガントできれい。日常的な身近なことを外国人に伝えることができる英語を習得するための英語授業だったそうです。日本語教育にも通じる教授法です。
八雲が東大を去ったのは、日本人並みの給料にされそうになったからだそうです(それじゃ生活ができない)。それで早稲田へ。他にも今回の講演では、チェンバレンやサトウやグラバーのこと、「日本では魚も出世する」、生誕110周年シンポジウム@ギリシャ、おもてなし、セルビア人の日本びいき、など興味深い話、多々。講演中にクリスティーヌさん、大川周明の名前が出なくって、助け船を出そうと思ったのですが、後ろの席の方が教えられた。
クリスティーヌは八雲を「
元祖異文化コミュニケーター」と位置付ける。彼女は日本人と結婚。夫の友人が自宅でのパーティーに来た時のエピソード(「おかまいなく」)、なるほどと思った。『マッサン』のエリーもそうなんでしょうね。
マリ・クリスティーヌは現在、「アジアの女性と子どもネットワーク代表」も。
タイトルの「
氏」、主催者の表記に従っています。自分、この表記、嫌いですが。「さん」か「先生」でしょうね。