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高志の国文学館

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(9月17日午前・記)
9月15日(土)外出の最後の目的地は「高志の国文学館」。「高志」は万葉仮名でしょう、「こし」=越、越中。知事公舎跡を利用して今年開館した。館長は当初辺見じゅんが予定されていたが、彼女の急逝により中西進が館長に。アップした写真は入口の大伴家持(おおともの・やかもち養老2(718)年-延暦4(785)年)像で。
常設展を鑑賞。富山県ゆかりの作家、三島霜川(みしま・そうせん明治9-昭和9)、小寺菊子(こでら・きくこ明治12-昭和31)、岩倉政治(いわくら・まさじ明治36-平成12)、源氏鶏太(げんじ・けいた明治45-昭和60)、堀田善衞(ほった・よしえ大正7-平成10)、辺見じゅん(へんみ・じゅん昭和14-平成23)らのコーナー。梅原北明はなかったか。ここは文学館ではあるが、藤子不二雄A(Aは正しくはAに○。ふじこ・ふじお・エー昭和9-)・山根青鬼(やまね・あおおに昭和10-)ら漫画・アニメのコーナーも併設。他に、富山県ゆかりの書籍で構成された壁、読書が楽しめるライブラリーコーナーなども。
開館記念企画展は、「『大伴家持と越中万葉』-風土とこだまする家持の心」。「家持の歌の世界」「家持の人物像」の2部構成。家持は天平18(746)年越中国に国守として赴任、天平勝宝3(751)年に離任。万葉集全20巻4516首中、巻16・17・18・19に「越中万葉」(家持及び周辺の人々によって詠まれた歌+越中に伝わる民謡)が337首入っている。
立山、二上山、布勢水海、奈古の浦など、雄大で美しくかつ厳しくもある越中の風土や四季折々の自然は、家持に都とは異なる新鮮な感動をあたえ、家持は越中に関わる二二三首にのぼる優れた歌を詠んでいます。家持は、『万葉集』全二十巻の中に四七三首を残したといわれており、その約半数が越中で詠まれたことから、越中時代に独創的な歌の境地を深め、歌人として成長したと考えられています。(「大伴家持と越中万葉」パンフレットより。P8)
家持が越中で詠んだ歌から5首引用。
世間(よのなか)は 数なきものか 春花の 散りの乱(まが)ひに 死ぬべき思へば  巻十七・3963
立山(たちやま)に 降り置ける雪を 常夏(とこなつ)に 見れども飽かず 神(かむ)からならし  巻十七・4001
東風(あゆのかぜ) いたく吹くらし 奈呉(なご)の海人(あま)の 釣する小舟(をぶね) 漕ぎ隠る見ゆ  巻十七・4017
春の苑(その) 紅(くれない)にほふ 桃の花 下照(したで)る道に 出(い)で立つ少女(おとめ) 巻十九・4139
物部(もののふ)の 八十少女(やそおとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花  巻十九・4143
(「大伴家持と越中万葉」パンフレットより引歌)

(参考)
北日本新聞社編集局『越中文学館』(北日本新聞社。発行・2008年10月17日)
by tiaokumura | 2012-09-15 14:06 | 富山 | Comments(0)


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