今年の
風の盆はカレンダーや天候に恵まれ、例年より多い26万人の人出予想とか。今日9月3日が最終日。風の盆は、一昨年、
観世流華川会(川田有紀子師主宰)のツアーで初体験。その夜は人の多さに辟易しましたが、夢幻能の味わいも堪能できた。アップした
映像は、2011年9月3日27時半の諏訪町町流し(
YouTubeより)。通によれば、観光客が帰った後、演奏者・踊り手が自分たちだけのために演じる町流しにこそオワラの醍醐味があるとか。しかしながら映像でおわかりのように、そのことも「観光客」に知れ渡り、今ではかなりの人出になってしまっているようである。
今年、
柏木清一叔父が亡くなった。叔父は子どもの頃からぼくを可愛がってくれ、僕の富山Uターンを勧めてくれた恩人でもあり、八尾おわらでは
松本勘玄(まつもと・かんげん1879-1949。おわらに胡弓を導入した)の事績に詳しい人であった。今年の風の盆では、叔父の冥福も祈りたい。
6年前、
前夜祭(観光客の分散を意図に本番前の数日、各町内順に町流しをする)に行ってきた。その際にものしたザレ唄を以下に。越中八尾おわら節は7775、都々逸の調べです。
あひにきたのか ひとめをぬすみ
こよひひとよの オワラ かぜのぼん
(逢いに来たのか人目を盗み 今宵一夜のオワラ風の盆)
やつおぼんぼり よつやつみやり
かさなるふたり オワラ かぜのぼん
(八尾雪洞四つ八つ見やり 重なる二人オワラ風の盆)
どこまでおちる あいよくぢごく
ままよこよひは オワラ ゆめのなか
(どこまで落ちる愛欲地獄 ままよ今宵はオワラ夢の中)
ぢごくごくらく あのよのことよ
むすぶからだは オワラ うつしよぞ
(地獄極楽あの世のことよ 結ぶ体はオワラ現し世ぞ)
さんもじなまえ わがせになぞる
あすはきえゆく オワラ えにしかな
(三文字名前わが背になぞる 明日は消え行くオワラ縁かな)
ちぶさにはがた のこしてみても
つぎのあふせは オワラ からてがた
(乳房に歯形残してみても 次の逢瀬はオワラ空手形)
かみのほつれげ なほしてやるぜ
おまへあしたは オワラ ひとのつま
(髪の解れ毛直してやるぜ お前明日はオワラ他人の妻)
とこののこりが かいでてやりたい
ゆあむおときき オワラ むせぶほど
(床の残り香かいでてやりたい 湯浴む音聴きオワラむせぶほど)
よあけまたずに わかれるふたり
きみはみやこへ オワラ かぜのぼん
(夜明け待たずに別れる二人 君は都へオワラ風の盆)
いだがはのぞいて とびこむふりを
みせておまへは オワラ なきわらひ
(井田川覗いて飛び込むふりを 見せてお前はオワラ泣き笑い)
きみはひとづま こどももふたり
せめてこよひは オワラ かぜにまへ
(君は人妻子どもも二人 せめて今宵はオワラ風に舞え)