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TVドラマ『恕の人―孔子伝』(BS日テレ)

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今期のTV、ドラマが不振のようですが、皆さんは何かご覧になっていますか。僕はBS日テレの『恕の人―孔子伝』をよく観ています。このドラマ、放映時間がはっきりしないのですが、どうやら月・火曜日6時から放送で、野球中継(日本テレビ系なのでジャイアンツ戦)があるとなくなるようです。同ドラマ、ネットの公式サイトはこちら
韓流って言葉はすっかり定着しましたが、華流・漢流ってどうなんでしょう。このドラマは中国のTVドラマ、いわば華流・漢流ドラマです。別のチャンネルですが中国ドラマ『三国志』も放映中ですよね。本ドラマの監督・プロデューサーはハン・ガン、脚本はハン・ガン、ジョン・ジンジン、スイ・ドン。出演俳優は、孔子がウインストン・チャオ(趙文宣)、顔回はいしだ壱成、子路はチャオ・ジュン、子貢はロー・ガーリョン、南子夫人がイ・ジョンヒョンなど。ウインストン・チャオ(孫文俳優でもある)は台湾、いしだは日本、チャオ・ジュンは中国(本土)、ロー・ガーリョンは香港、イ・ジョンヒョンは韓国と、アジアの才能が結集したドラマでもある。いしだ壱成はかつてのトレンディ俳優。スキャンダルか何かで日本の芸能界では干されていたんでしょうね。それが中国本土に渡り、僕なんかには窺い知れぬほどの苦労を重ね、顔回役を射止めた。好演です。いしだの中国での仕事探し、いつだったかTVでやってました。『恕の人―孔子伝』は吹替えドラマで、顔回はいしだが吹替え(当たり前なのかもしれないけど^^)。
『恕の人―孔子伝』は全部で35話で、今日6月18日(月)は第24話「陳国へ」。時に悩み時には怒る人間・孔子、直情径行の武闘派で失敗を犯しながらも憎めない子路、孔子に最も愛されたであろう生真面目な顔回、頭脳明晰かつ商才に長け孔子一行のピンチを何度も救う子貢-2500年前、孔子と弟子たちの生き方がリアルに感じられるドラマです。
『恕の人―孔子伝』の公式サイトの「ストーリー」から引用。
今から2500年前、春秋時代末―――諸侯が戦いを繰り広げ、戦火はますます激しくなる時代。
現在の山東省西南部にあたる魯の国。父を亡くし、母と共に暮らす少年・孔子は、伝統的な祭儀の様を真似するなど、昔の周の時代の礼節を取り入れて、人が安心して穏やかに暮らせる世界を作り上げる夢を持っていた。
青年になった孔子は、馬の世話役など下積みをしながら読書に励む。36歳になり、三大貴族の三桓氏の一つである孟孫氏に見いだされた孔子は、魯の為に制度改革を提案するが、反対にあい、自ら斉の国に移動する。
隣国・斉では、君主には気に入られるが、些細なことがきっかけで宰相に嫌われたため、再び、魯に戻る。
魯で私塾を開いた孔子は、52歳になり大抜擢され、理想の国に向けて大いに力を発揮する。しかし、斉の陰謀に魯の君主や三桓氏が引っ掛かり、失望した孔子は再び魯を脱出し、14年間の亡命生活を余儀なくされる。
68歳になり、魯に帰った孔子は、73歳までの生涯を弟子の育成に専念し、「論語」に代表される、現代にまで影響を与える儒教の教えを広め続けた。

孔子を「恕の人」と捉えるのは日本ではなじみがないですよね(いや、それは僕だけか)。鎌田正・米山寅太郎『漢語林』(昭和62年4月1日初版。大修館書店)の「恕」の「解字」によると、「恕」は「形声。心+如。音符の如は、古文では女、しなやかな女の意味。しなやかな心、おもいやり・ゆるすの意味を表す。」(p364下段)。

アップした写真の本、
銭寧・著、松岡亮・訳『聖人・孔子の生涯』(2011年12月1日第2刷―2005年8月第1刷。東洋書院。1900円+税)
井波律子『論語入門』(2012年5月22日第1刷。岩波新書。800円+税)
金谷治・訳注『論語』(2009年7月2日第19刷―1963年7月第1刷、1999年11月改訳第1刷。岩波文庫。800円+税)
です。今、「論語・孔子」がマイブームかも(照)。『論語』って自分、完読しとらんのですね(恥)。この機会に通読しようと思っています。
①はドラマの原作本。当ブログではあまり「悪口」は書きたくないのですが、この本、ひどい翻訳。翻訳者は日本人名ですが、日本語ネイティブじゃないのでは。僕が「ひどい翻訳」と思うほんの1例。
孔子が荒野の中で勝手気ままに一夜歩いて、感覚的には南行していた。/先にひとかたまりの麦畑を歩いて越え、片足は高く、もう一方の足は低くなり、泥がつき水をかぶった。(同書p139下段。/は改段落)
②の井波律子(いなみ・りつこ1944-。富山県出身)の本は何冊か持ってます。本書、『論語』から146条を選び「孔子の人となり」「考えかたの原点」「弟子たちとの交わり」「孔子の素顔」の4章に分類・収録(同書pⅰ)。
③、『論語』諸本ある中でこの本を選びました。原文・読み下し・現代語訳で構成。金谷の「子曰」の読み下しは「子の曰(のたま)わく」です。本書「語句索引」によると「恕」は1箇所だけです。
子貢問うて曰わく、一言にして以て終身これを行なうべき者ありや。子の曰わく、其れ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ。(p214)
by tiaokumura | 2012-06-18 07:26 | このブログのこと | Comments(0)


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