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蓑島良二『とやま キトキト魚名考』(北日本新聞社)

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蓑島良二
『とやま キトキト魚名考』
平成22(2010)年9月15日発行
北日本新聞社新書(北日本新聞社)
952円+税

蓑島良二(1930-)は富山県福岡町出身、富山弁研究の第一人者。本書、僕は『おらっちゃらっちゃの富山弁』についで2冊目になる。県内各地でよく目にする「富山弁番付表」(正式名称は失念)は彼の監修による。同番付、僕の勤務先の富山国際学院にも掲示してあります。因みに真田信治(1946-)も富山出身(五箇山)です。
本書は蓑島が地元紙・北日本新聞に2003年10月から2年間連載した中から80篇選んだもの(「あとがき」p168に拠る)。「オキノジョロウ」がないのは、もともとないのか、あるいは選ぶ過程で落とされたのか。不詳。本書、在野の好事家(褒め言葉です)蓑島の博覧強記が存分に生かされている。
本書では、それぞれにカット(津田武美、蓑島宗夫)・英語名(ゲンゲはSoft eelpout)・分類(ズワイガニは十脚目クモガニ科)が付いている。

本書から僕が勝手に「富山美食TOP10」を選ぶとしたら、第1次候補はアオリイカ・アマエビ・イイダコ・カワハギ・ゲンゲ・サヨリ・シロエビ・ズワイガニ・タチウオ・トビウオ・バイ・ヒラメ・ブリ(わが家ではツバイソ→フクラギ→ブリ)・ホタルイカ・マダラあたりになるか。本書にないものではアユ・イワガキ・オキノジョロウなども入ってくるでしょうね。本書は「『魚名』考」で美食本ではないのだが、当然のことながらそれぞれの食し方/調理法も併記してある。富山にももちろん郷土料理があれこれありますが、食材に恵まれている土地柄なのでほとんどが刺身・鮨タネで食せるのは、他都道府県にはなかなかない特長でしょうね。体験したい方はぜひご来富を。そういうの、現地じゃなきゃ味わえません。
高校生の頃は都会に憧れていた。そして大学進学は首都圏を選んだ。30代にUターンし爾来約30年、今こうして蓑島の快刀乱麻な筆致に接すると、「食在富山 よくぞ富山に生まれ育ちける」ってな心境になる。人間、加齢にともない郷土愛に目覚めそれが深化していくんでしょうね。県外の人が来富されると「富山は飲食店、どこでもだいたいハズレがない。海の幸・山の幸・里の幸、ぜひ味わって行って」と言うし、県外出張の折なぞ「これは」って人に「越中守」の名刺を渡して富山を宣伝している。こないだの金沢での研修で神吉宇一さん(AOTS)に「奥村越中守」なんて言われて照れくさかった^^。
僕は飲食中に能書きを垂れる人が嫌いだが、本書を読んでいると「カンパチって富山弁ではヤケンパチながよ」などと薀蓄を傾けたくなりそう(爆)。
by tiaokumura | 2010-10-31 15:49 | 富山 | Comments(0)


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