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川上弘美『七夜物語』、連載開始

『センセイの鞄』がTVドラマ化され(演出久世光彦)、オン・タイムでか再放送でか忘れたが観て、ツキコさん=小泉今日子はともかく、センセイ=柄本明はミス・キャストじゃないかなぁと思った。柄本明は確かに演技のうまい存在感のある役者なのだろうけど、原作を読んだ僕の「センセイ」は、林望(「センセイ」は「古文の先生」ですもんね)を加齢し痩身にしたイメージだった。愛読者ってぇのは身勝手なもんなんでしょうね^^、それぞれに勝手に抱く「センセイ」のイメージ。僕はタレントに疎いのだが、フランスにいたことのあるナントカって俳優が、強いていえば「センセイ」の適役だと思う。TVドラマでは、久世演出だからでしょうね、樹木希林や加藤治子も出ていました。

川上弘美朝日新聞連載小説『七夜物語』が、今日(9月10日)の朝刊から始まりました。
 さよは、いつも不思議に思っていた。
が書き出し。酒井駒子

川上弘美(1958-)は『センセイの鞄』で初めて出会い好きになり、その後『蛇を踏む』『神様』『溺レる』『パレード』『真鶴』などを読みました。彼女の作品の魅力を一言で言うと「のほほん感」でしょうね。川上がどうやってそういう文学世界・文体を身につけたのか知りませんが、あるいはアメリカ(異国)での少女生活・お茶の水女子大理系出身・教員経験・主婦といったあたりが、川上ワールドを醸し出しているのかもしれません。

『七夜物語(ななよものがたり)』は、連載前の朝日新聞記事(9月5日付)の川上の弁を引用すると
「もともと児童文学が大好きで、いつか子どもが主人公の物語を書きたいと思っていた。最近、長編をようやく書けるようになって、いよいよ書いてみようと思った」
だそうです。「七夜物語」とは、「私の小説の中では一番小さな主人公」(川上)である「さよ」のお気に入りの本のタイトル。
「さよが大好きな『七夜物語』が入り口となって、さよと仄田くんは不思議な世界に入って行き、七つの夜を体験します」
本の世界に入っていくという趣向は、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』などを連想させますね。
「さよ」は、小学4年生になったばかりの女の子。「小学4年生」という設定もこの小説では大事なポイントなんでしょうね。

最近の新聞連載小説では渡辺淳一『失楽園』(1995-96年。日本経済新聞)がありますが(もう「最近」ではないか^^)、今日から始まった川上弘美『七夜物語』、毎朝新聞を読む楽しみが増えました。

(同日追記)
酒井駒子須賀敦子『こうちゃん』の挿絵も描いています!
by tiaokumura | 2009-09-10 20:18 | | Comments(0)


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