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「隠し文学館 花ざかりの森」開館一周年記念 新資料でよみがえる 三島由紀夫 展Ⅱ

あの衝撃の1970年11月25日から38年以上が経過した。当時24歳の僕にとっても衝撃であったが、杉田欣次青年にとってはもっと衝撃だったと思われる。それ以前、彼は三島の『金閣寺』の青年僧に自らを重ね合わせ、三島文学に傾倒していた。彼は三島作品に触れる中で、三島が自死を予告しているように感じられ、三島が目指そうとしている死を阻止すべく三島に長文の手紙を書いた。しかしその手紙を三島に送ることなく1970年11月25日を迎える。
杉田青年はやがて三島の初版本・直筆原稿・三島関連の映画演劇ポスター・新聞雑誌資料などの収集に励む。これは僕の想像なのだが、杉田さんはそうすることで自分の三島体験を明らかにし自らの人生の意味を見出されようとしたのではないだろうか。そして杉田さんがその過程で多くの困難と出会われたことは想像に難くない。
杉田欣次さんは昨年、
隠し文学館 花ざかりの森
を富山市内に開館された。杉田さんのような方を持つことができた三島由紀夫は幸せだと言える。
「隠し文学館 花ざかりの森」のサイトの「ごあいさつ」から以下転載する。
 作家三島由紀夫ゆかりの文学館を個人で開設すること、「花ざかりの森」を館名とさせて頂くことについて、故三島由紀夫氏のご遺族にご案内、お願いを申し上げましたところ、幸いにもご理解を頂き、そのご返事を携えて平成19年11月に正式に全国文学館協議会に入会させて頂きました。
  館名の由来のとおり、当館は作家三島由紀夫関係の資料を収集・保存・展示する文学館です。持っていた文学的な毒のためにともすれば誤解を受けている面もある作家三島由紀夫を真摯に見直して頂くきっかけの場とすると共に、三島文学の顕彰を通じて地域文学の振興に寄与したいと考えています。


私が初めて読んだ三島文学は『潮騒』。やがて『金閣寺』『仮面の告白』『美徳のよろめき』『豊饒の海』などを読み、三島の思想にも少し触れた。僕の場合、1970年11月25日は、その日からしばらくしての感想はまた別物なのだが、当日はなんだか「かぁーっ」と血が体内を駆け巡るような感じだった。まもなく創刊された某写真週刊誌(現在は廃刊)のその日の衝撃的な写真も恐いもの見たさで見た。いずれにしても杉田さんとは比ぶべくもない「三島体験」である。
現時点での僕の三島は、『サド侯爵夫人』『鹿鳴館』『椿説弓張月』といった劇作家、『英霊の聲』の天皇論/観、そして映画『憂国』(三島が製作・主演・監督・脚色・美術。妻役は鶴岡淑子)』なのかなぁと思う。なお、僕は三島については既に当ブログの「三島由紀夫も土方巽もいた時代」で触れています。

「隠し文学館 花ざかりの森」開館一周年記念の展覧会が以下の要領で開催される。(同館HPから抜粋転載)
《開館一周年記念》
新資料でよみがえる三島由紀夫 展Ⅱ
2009年3月1日(日)~3月22日(日) 午前10時~午後5時
 休館日 毎週月曜日
観覧料 一般500円、高・大学生300円、小・中学生200円
会期中イベント
 3月1日 開館一周年記念講話 杉田欣次「三島文学に魅せられて」
 3月8日 読み聞かせ
 3月15日 朗読会
 *各イベントとも応募人数は20名(抽選)

僕は「開館一周年記念講話」に応募しました。抽選なので定員内に入れるかどうか。ダメでも文学館観覧はしようと思う。

「隠し文学館 花ざかりの森」や「開館一周年記念イベント」についての正確な情報は同館HPでご確認ください。
by tiaokumura | 2009-02-03 21:28 | 富山 | Comments(0)


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